みなさまこんにちは。馬場です。
先日京滋団体戦に櫻井将棋塾として出場させていただきましたので、振り返っていこうかと思います。
私は大学時代、京都大学の将棋部に所属しておりまして、ご存じの方も多いかと思いますが、学生将棋は団体戦が一番盛り上がります。私もよく団体戦に出場しておりましたが、残念ながら活躍できた記憶がありません笑。団体戦に出場するのはそれ以来なので、7、8年ぶりですかね。というか大会自体が5、6年ぶりぐらいの出場で、いささか緊張していました。
メンバーは、櫻井、石井、上田、北口、馬場(敬称略)の5人。メンバーが強すぎるのでスイスイ勝ち進めそうな感じではありましたが、他のチームも結構な強豪が揃っていて異様にレベルの高い大会になっている模様でした(特に立命、京大の学生勢が相当本気で勝ちに来ていました)。
予選は難なく突破し、午後の決勝トーナメントから私の将棋を振り返っていきたいと思います。
トーナメント1回戦は立命館BKCチームと。私の将棋は先手で相掛かりになり、藤井流の▲97角を試してみました。
プロの公式戦だと、△62金のように歩を取らせる指し方が多いでしょうか。本譜は△84飛でした。
以下、▲75角△74飛▲66角△33桂▲76歩のように進み、難解な中盤戦に。戦いが始まってペースをつかみ、迎えたのが次図。
今、△64銀と打ってきたのに対し、▲同角△同飛となったところ。ここはかなり決定的なチャンスを迎えていたようですが、本譜は無難に▲66歩と指してしまい激ぬる。
ここでは、▲24歩△同歩▲23歩がほとんど決め手に近い攻めでした。この筋はもちろん頭の片隅にはあったのですが、以下△同金▲32銀打△12玉となってよくわからないなあと思っていました。
が、そこで▲43銀成と反対の金を取る手がありました。
以下△同銀しかないですが、▲53桂成があまりにもピッタリ。これを指せていれば快勝でしたね。
本譜は以下よれによれましたが、なんとか寄せ切って勝利。チームも4-1で勝ちでした。久々の大会ということもあって、終盤になると心臓がバクンバクンと踊り散らかしていました笑。これからはちゃんと大会に出て、場慣れしていかないといけませんね。
準決勝は立命京都連合チームと。立命・京大のエース級を取りそろえたチームで、さすがに反則過ぎる強さ。私の相手も強豪で、京大の現役生ということでした。なんとか先輩の意地を見せたいところでしたが・・・。
私の先手で相居飛車の力戦型に。
ここまではまずまずといったところでしたが、ここでふらっと▲66歩と突いたのが最初のつまずき。別に悪手というわけではないのですが、▲56歩か▲29飛としておいた方が自分のペースで戦えたような気がします。
本譜は▲66歩△33桂▲29飛△55歩と進み、やや緊張感漂う局面に。
実戦はここで▲56歩△同歩▲67銀と指したのですが、以下△54銀直▲56銀左△55歩となって5筋の位が安定してしまい、残念ながらこれ以降はノーチャンスでした。いや、ちゃんとやれば大変だったかとは思うのですが、自分はこういう作戦負け気味の序盤になってしまうと指し手がどんどん縮こまってしまっていって力が発揮できないんですよね。
自分は結構、次の一手に出てくるような派手な手はあまり好きではなく、ごく普通の、当たり前の手をコツコツ積み重ねて勝つのが将棋においては一番素晴らしいことだと思っている節があります。
形勢が良いときにはこの考え方は正しいと思いますし、実際、一度リードを築けばそれを離さず逆転負けを許さないのが自分の持ち味だとも思います。
ですが、そのスタイルが固まりすぎていて、形勢が悪いときにも無難な手しか指せず、逆転を狙えるようなパワーのある手を繰り出せずにズルズルと悪くなっていってしまうのが自分の欠点でもあります。まさに本局がそんな感じでした。
話を戻しまして、△55歩と突かれた局面。
終局後にお相手の方から指摘されたのですが、ここでは▲56歩△同歩に▲55歩と先着してしまう手があったようです。
うーん、こういう発想がそもそも私にはありませんでした。確かにこれなら5筋を奪還できそうですし、△64銀▲56銀△54歩▲同歩△同銀のように無理やり5筋を取り返しに来る手には▲35歩の反撃があります。こう進めておけば少なくとも一方的な展開は避けることができましたね。
というわけで残念ながら負け。チームも2-3で破れてしまいました。私としては何の見せ場もない将棋だっただけに非常に悔いが残る一戦でした。
気を取り直して、3位決定戦は嵐山チームと。私の後手番で、9筋の位を取らせる角換わりに。
初めて見た方は驚かれるかもしれませんが、ここで△42玉と戻るのが定跡化された一手。
意味としましては、後手は△86歩と歩を交換したいのですが、すぐにやるのは▲同歩△同飛に▲87金△81飛▲86歩とされてしまうのが不満。ですので、一手パスして▲56銀と指させることで、歩を手持ちにしたときに△35歩の狙いを作ろうということです。
同じパスなら△22玉の方がよさそうにも見えますが、これはかえって敵の攻めに近づいてしまうので、△42玉とバランスを取るのが有力とされています。
△35歩の狙いがあるので、△42玉には▲56銀△86歩▲同歩△同飛に▲87歩と打ってしまい、△81飛に▲45歩と先攻するのが定跡とされていますが、本譜はそれでも▲87金と上がってきました。これは後手十分という認識だったのですが・・・。進んで次図。
ここで指す手が一手もわかりませんでした。定跡を丸暗記していただけの弊害がこういうところで出ますね。実戦は▲45歩の仕掛けから遠ざかるべく△52玉としましたが、先手もやりづらいとは思いますが▲94歩△同歩▲75歩△同歩▲92歩△同香▲74角の筋が常にちらつきます。それを緩和しようと△63金と上がりましたが今度は72のキズが気になり、さらに△62玉と寄りましたが今度は端に近づいてしまい端攻めを常に警戒しなければならず・・・とどこまでいっても安住の地がなく、陣形の整備にかなり苦心を強いられる展開となりました。進んで次図。
今先手が▲77桂とぶつけてきて桂交換になったところ。ここが本局で最も悩みました。
まず局面を把握するのが遅く、1~2分眺めてようやく先手から▲26桂と打つ手があることに気づきました。遅い。遅すぎる。▲26桂を受けるか、それともそれを上回る攻めが後手からあるか、ということになりますが・・・。
▲26桂を受けるだけなら△52銀が考えられますが、ただでさえ端攻めを気にしているところにさらに壁を作ってしまうのはさすがに耐えられませんでした。
といって△65桂や△75歩と攻めるのも明らかにフライング。どうするか非常に悩みましたが、長考の末に指したのが・・・。
△33桂。全く普通の手ですが、本局で一番印象に残っています。意味としては、▲26桂に対しては△25銀▲同桂△同桂として、駒損ながら26の桂を空振りさせてバランスを取ろうということです。駒を引いてしまう△52銀よりこちらの方が明らかに駒に勢いがあります。
まあこの△33桂自体は、1秒で見えるだろ、と言われてしまいそうなぐらい普通の手ではあるのですが、やや苦しめな局面で自分から崩れずになんとか持ちこたえることができた、という意味で印象に残る一手でした。
実戦は以下▲66歩に△45歩から戦いになり、なんとか勝つことができました。チームも3-2でギリギリ勝利。
というわけで3位でフィニッシュ。石井さんは個人で全勝。上田さんも最終戦以外はすべて勝ちでしたので、お二人の頑張りに報いることができなかったのが悔やまれます。ただ、最後の将棋でズルズルいかずに持ちこたえられたのはよかったですね。
大会後は櫻井さん行きつけ焼肉屋さんで打ち上げ。こういう機会も学生時代ぶりでしたね。櫻井さんの面白トークと上田さんの天然エピソードに耳を傾けながらお肉に舌鼓を打ち、非常に楽しいひとときでした笑。
次の大会がいつになるかはわかりませんが、次は結果を残せるように、しっかり精進していきたいと思います。
0件のコメント