どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【雁木で覚えておきたい構想】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) June 19, 2024
相手は右四間飛車に構えて攻めようとしていますね。ただ、こうした局面になったら☖64銀と出る手が成立します。… pic.twitter.com/2nSzh4mdAN
現代将棋において雁木は主要戦法の一つなので、これを採用するプレイヤーは多いのではないでしょうか。ただ、雁木は急戦策が強敵で、その中でも右四間飛車は厄介な相手の一つです。
そこで今回は、右四間飛車に対して有力な構想を解説したいと思います。
☖3三角型の場合は攻撃重視で戦う
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☗7七角と指し、8筋の歩交換を防いだところです。
ご覧のように、相手は右四間飛車に構えていますね。この戦法は[飛角銀桂]を4筋に集中させて攻めることが特色であり、攻撃力の高い戦法です。雁木側は対応を誤ると瞬く間に形勢を損ねてしまうので、対処法を把握しておく必要があります。
さて、こちらは囲いが未完成なので、上図では☖5二金→☖4二玉→☖3一玉という要領で囲いを強化するのは自然な指し方です。ただ、結論から述べると、この指し方は得策ではありません。というのは、先手に玉型を整えられてから☗4五歩で仕掛けられると、受けに回る条件が悪いからです。
雁木側が受けに回る条件が悪い要因の一つに、☖3三角型に構えていることが挙げられます。仮に☖2二角型であれば、☗4五歩に対して☖同歩☗2二角成☖同玉という要領で他力を利用して自玉を入城できるので、それは怖くありません。しかし、こうした☖3三角型だとその対応が使えないので、受けに回る条件が悪いのです。
こうした背景があるので、筆者は冒頭の局面から玉を囲うのではなく、全く別のプランを採りました。具体的には、☖6四銀と上がります。これが臨機応変な一着ですね。
右四間飛車は4筋を攻める戦法なので、こうして自ら4四の地点の利きを減らすのは危険な指し方だと感じる方もいらっしゃることでしょう。しかし、これで[☗4五歩☖同歩☗同桂]という攻め筋が直撃しないようにしたほうが、かえって相手の攻めを受け止めやすい意味があります。
加えて、ここに銀を出れば☖7五歩☗同歩☖3五歩☗同歩☖7五銀という仕掛けを作ることも出来ます。つまり、この銀上がりは攻防一体の一着という訳なのです。
相手としては、のんびり駒組みを進めると先述した仕掛けを喫してしまいます。ゆえに悠長に構えている余裕はありません。
また、雁木側の4筋が手薄になったことを咎める意味でも、ここは仕掛けたいところです。よって、上図では☗4五歩☖同歩☗同銀と動くのが妥当ですが、こちらは平凡に☖4四歩と受けておきましょう。
ちなみに、この対応は4九の金が浮いている状況下だと、概ね成立します。
これを☗5六銀と撤退してくれれば、やはり☖7五歩☗同歩☖3五歩☗同歩☖7五銀の仕掛けがあります。ゆえに☗4四同銀と突進してくるのは当然ですが、☖同銀☗同角☖同角☗同飛☖2二角が期待の反撃。こちらは歩損になっていますが、最後の角打ちで駒得が見込めるので問題なく対処できるのです。
ここで☗7七角のように飛車に紐をつける手は、☖4四角→☖4七飛で両取りが掛かります。したがって、相手は飛車を逃がすよりありません。
そうなると☗4八飛が一案ですが、☖9九角成☗7七桂☖4一香と進めておけば、こちらは駒得を果たしながら4筋の脅威を緩和することが出来るので、優位を掴むことができます。
こうした進行を見ると、☖6四銀と上がっても意外に4筋は安定していることが分かりますね。
このように、☖3三角型の雁木で右四間飛車を相手にする場合は、☖6四銀と上がって迎撃するのが有力な作戦となります。3七の桂から前もって逃げておくのがポイントで、そうすることで敵の攻めの威力を減殺することが出来ます。同時に、ここに銀を上がれば攻め筋を作ることが出来るのも嬉しい恩恵ですね。これは多少の配置の違いに関係なく応用できるので、ぜひ試してみてください。
もう一つの迎撃策
先述したように、この形の雁木は☖6四銀と上がっても、意外に4筋の薄さが祟りません。それは☗4五歩☖同歩☗4五同銀と進軍されても、☖4四歩のカウンターが強力なことが理由の一つです。
また、☗4五同銀と指されたとき、雁木にはもう一つ有力なカウンターがあります。それは、☖7七角成☗同桂☖2六角ですね。これもこの戦型で頻出する手筋の一つです。
これは桂取りと同時に4四の地点を強化した意味があります。例えばここで☗3八飛のような対応なら、☖3三桂☗5六銀☖7五歩(もしくは☖4六歩)と攻勢に出れば OK です。この進行は相手の銀を撤退させているので、自陣がとても安全になっていますね。
また、☖2六角に対して☗4四歩と攻め合ってきたら、☖3七角成☗4三歩成☖同金と踏み込んで問題ありません。銀桂交換の駒損ですが、こちらは飛車を取れることがほぼ確定しているので、後から存分に反撃できます。相手は満足に攻めることが出来ないので、☖2六角と打った局面も雁木側が面白い将棋だと言えるでしょう。
ちなみに、この☖2六角という対応は、相手が[☗5九金・☗6八銀型]のようなカニ囲いに組んでいると、より強い効果を発揮します。この対応も併せて覚えておくと、右四間飛車を恐れずに立ち向かうことが出来るのではないでしょうか。
また、雁木で右四間飛車を対処する構想は、他にも種類があります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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