雁木で右四間飛車を対処する駒組み

どうも、あらきっぺです。

櫻井将棋塾では、定期的に研究会が行われています。今回は、そこで筆者が指した将棋を題材にしたいと思います。

今回は、雁木 VS 右四間飛車という構図の将棋を解説したいと思います。

☖２二角型の特色を活かす

さっそくですが、以下の局面をご覧ください。手前の雁木に組んでいる方が筆者です。図は、相手が右四間飛車を表明したところですね。

右四間飛車は［飛角銀桂］の四枚の攻め駒を使うので、非常に攻撃力の高い戦法です。ただ、攻め筋としては４筋の一点狙いなので、受け側としては対処しやすい側面があります。雁木としては、上手く受けの形を作れるかどうかが、駒組みのテーマだと言えるでしょう。

さて、具体的にどんな手を選ぶかですが、大まかに分けると二通りの駒組みが考えられます。すなわち、

（１）☖５三銀で４四に利きを増やす。
（２）☖３三桂で４五に利きを増やす。

この二つですね。

これらはどちらも有力なのですが、筆者は（２）の☖３三桂で受けるプランを選びました。これには、二つの理由があります。

まず一つ目は、☖２二角型であることを活かしたかったから。もう一つは、相手の左美濃を攻略するとき、桂交換になりやすい状況を作っておく方が都合が良いと判断したからです。

雁木が☖３三桂と跳ねる受け方を選ぶと、上図のような局面を迎えることになります。相手は必ず☗４五歩から仕掛けてくるので、桂交換になる可能性は極めて高いと言えるでしょう。そうなると、将来☖６四桂や☖８四桂で反撃する手が楽しみですね。それに期待しているので、☖３三桂で受ける方が面白いと見たのです。

さて、本譜はここで☗４五歩と仕掛けてきました。これを素直に☖同歩☗同桂☖同桂☗２二角成☖同金☗４五銀と進めると、４四の地点で数的優位を作られてしまうので、雁木は非勢に陥ります。

そうなると困ったようですが、☗４五歩には☖同桂☗同桂☖６四歩と応じましょう。これが右四間飛車の攻めを足止めさせる対応になります。

安易に４四の歩を動かさないことがポイントです。この歩を固定しておけば角交換になりませんし、銀の進軍も封じることが出来ます。

このあとは、☖６三銀→☖６二玉→☖８一飛と陣形を充実させるのが楽しみです。４五の桂はいつでも取り返せるので、取るタイミングはなるべく遅らせましょう。そうすれば、自陣に脅威が及ぶまでの時間を稼ぐことが出来ます。

なお、相手も手をこまねいていると面白くないので、いずれは☗３五歩☖同歩☗３八飛から動きを見せることになります。これは歩を入手して☗３三歩と打つ手が狙いですね。

ただ、こうすると飛車が４筋から逸れてくれるので、雁木は☖４五歩で桂を取りやすくなります。こうして相手の攻めを緩和した状態で桂交換に持ち込めれば、雁木側に不満は無いと言えるでしょう。

このように、☗２六歩型の右四間飛車には、☖３三桂と跳ね、４四の歩をなるべく動かさない方針で受けるのが対処法の一つになります。桂を取り返すまでに時間が掛かる嫌いはありますが、覚えることは少なく、受け方としても簡単なメリットがあります。右四間飛車に悩まされている方は、ぜひお試しください。

なるべく銀を４五に進ませない

ちなみに、この戦型の右四間飛車は☗４五歩から仕掛けるのが常識的ですが、トリッキーに攻めるならあえて☗４五桂と跳ねてしまう方法もあります。

ここから☖４五同歩☗同歩と進むと、右四間飛車は４筋の歩を伸ばせるので、攻めが止まりませんね。なお、これは☖４五同桂☗同歩と進んだ場合も同様です。

これらの変化は４四の歩を削ることが出来ているので、右四間飛車は先程のように攻めがストップする展開にはなりません。

繰り返しになりますが、この戦型の雁木は安易に４四の歩を動かさないことがポイントです。ゆえに、この☗４五桂には無視する方が歩を動かさない展開になります。よって、☖６五桂で攻め合ってしまうのが良いでしょう。

☗８八角には、☖８六歩☗同歩☖同飛☗８七歩☖７六飛で暴れていきます。７六の歩を削れば、その地点に桂を打つビジョンが見えてくるので、左美濃の弱点を突けますね。そう進めば、雁木にとって満足な将棋と言えるでしょう。

ところで、なぜ、安易に４四の歩を動かさないことがポイントなのかと言うと、それを動かすと５六の銀が４五へ進みやすくなるからです。この銀に前進されると、相手の攻めは［飛角銀桂］の四枚になるので、雁木は受け止めるのが困難になります。逆に、この銀が出てこない限りは［飛角桂］の三枚の攻めなので、凌げる余地があるというわけですね。なので、安易に４四の歩を動かさないことが重要なのです。この原則を意識しておけば、そう簡単に潰されることは無いでしょう。

また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです！

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