みなさまこんにちは。馬場です。

 今週も研究会の模様をお届けしてまいります。

 今回は12名の方にご参加いただきました。ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。

 結果はこちら。

 今回は全勝者がいない混戦でした。最近は新参加の方が来られることも多く、研究会のレベルとしてもかなり上がってきている印象です。全勝するのはなかなか大変ですね。

 私個人としては、結果はともかく今回は内容がかなりひどかったので反省です。ここ最近はモチベーションがなかなか上がらなかったのですが、そういう時にでも何かできることを見つけて取り組んでいけるようにしたいですね。

 私の将棋から一局ご紹介。

 先手番で相手方の右玉に対して矢倉で対抗する展開に。

 ▲55歩と突いたのがポイントとなる一着で、先手は若干駒が偏り気味なので、このまま漫然と組んでいると打開が難しくなりそうです。そこでこの▲55歩は、▲56銀と好形を作るのを目指した意味ですね。56銀型に組むことができれば後手の玉頭にかなりプレッシャーがかかってしまうので、後手としてはそれをどう阻止するか、といった局面です。私は基本的に受け将棋なので、後手を動かしてそれに対処する、という構図のこの局面は自分の実力が出しやすいのかなと思って好んでよく指しています。

 実戦は上の図から△86歩と突いてきました。厳密にはやや指しすぎかとは思いますが、こちらの玉に嫌味をつけて実戦的な手ですね。こちらとしては、一歩得になるので局面をうまく収めていきたいところです。

 以下▲同銀△45歩▲37角△33角▲54歩△同銀左▲56歩と進みました。

 ▲86同銀と取らせて△33角から先手玉のこびんを狙おうというのが後手の構想でしたが、上図まで進んでひとまず収まった格好でしょうか。

 ここで△65歩のように攻めるのはさすがに無理筋で、▲77銀と引いておいて、こびん攻めよりも先手から将来▲64歩と叩いていくカウンターの方が厳しそうです。最後▲56歩と打ったのは、後手から△55歩のように位を取られるのを嫌ったのと、△65歩▲77銀△66歩▲同銀右△65歩のように進んだときに、▲55銀とぶつけていく土台を作った意味があります。

 仕掛けがないということで実戦は▲56歩に対して△43金左としてきましたが、一歩得で局面を収めるという先手の思惑通りになりややこちらが満足といったところでしょうか。以下▲77桂△53金寄▲89玉△72玉と進行しました。

 ここが問題の局面でした。

 今私が書いている別記事でも話題に取り上げているのですが、これが「平成脳」とでも言うべきか、私の脳内ではここから▲68銀と引きつけて堅めることばかり考えていました。

 と言いますのも、途中で▲89玉と引いたのはもちろん相手の角筋を避ける意味ではあったのですが、そもそも右玉に対しては菊水矢倉に組むのが有力とされているから抵抗なく▲89玉と指せた、という背景があります。だから私の脳内では、上図の先手玉は菊水矢倉、という認識だったんですね。そして菊水矢倉と認識するならば、▲68銀から▲79銀と引きつけていくのはごく自然な発想に思えたんです。

 ただ今すぐ▲68銀とするのは△65歩が気になります。そこで実戦は△65歩に対して▲55歩と突いていく筋を見せるべく▲58飛と回ったのですが、これがまあひどい手でした。そもそも見た目からして良さそうな手には全く見えませんが、調子がのらないときというのは得てしてこういう手を平気で指しがちです。

 実戦は以下、△62金▲68銀△46歩と進行。

 ああ~やらかしたああああ。

 何を隠そう、この△46歩をうっかりしていたんですね。ひどい。しかも指されるまで気づいてないんだからなおのことひどい。

 この手筋は△54銀型の四間飛車対居飛車穴熊の戦型ではよく見られる基本中の基本なのですが、これをうっかりしているのでは何をしに来たんだ、という感じです。

 ▲46同角と取ると△45銀から△36銀とドリブルされて収拾がつかなくなってしまいますので仕方なく▲同歩と取りましたが、ゼロ手で▲55歩を防がれてしまいました。こちらは一手かけて▲58飛と、わざわざ△69銀の割打ちが生じる悪い場所に回っていますから、このやり取りは大損です。以下△65歩から6筋を制圧されて、一気に自信のない展開になってしまいました。

 戻って△72玉の局面。

 ここでは至って普通に、▲26角~▲37桂のように体勢を整えておけばよかったようです。機を見て▲55歩△同角▲56銀のような仕掛けを狙っていく感じですね。後手から△65歩と仕掛けてくることはもう基本的にはなさそうですから、より効果的な位置に角を配置しようというのは確かに普通ですね。

 ただ対局中はとにかく▲68銀と引くことしか頭になく、そうすると後手から△65歩と突っかけてくることは普通にあり得るわけで、37の角はこの位置でにらみを利かしておかなければならないと思い込んでいました。頭カッチカチですね。

 基本手筋をうっかりしたのは猛省せねばなりません。ただ対局中はもう過ぎ去ったことはどうしようもありませんので、なんとか踏ん張るよりありません。

 進んで次図。

 △56歩と取りこまれたところ。抑え込まれ気味で苦しい局面なので、なんとか勝負形に持ち込みたいところです。

 一番平凡な対応は▲56同金と取り返す手ですが、以下例えば△75歩▲55歩△76歩のように攻め合いになるとまず勝てません。

 先手の攻めがややピントが外れているのに対して、後手の攻めはド急所を突いています。何より、この図面は37の角があまりにもひどいです。となればやるべきことはただ一つ。

 実戦は△56歩の局面から、▲26角と活用し、△55銀に▲56金とぶつけて一気に先手の駒に活が入りました。以下△同銀▲同飛と進んで次図。

 先程の△76歩と攻められた局面と見比べると、見違えるように先手の大駒が生き生きとしているのがお分かりいただけると思います。実際はこれでもまだ自信があったわけではなかったのですが、実戦はここから流れが変わり、勢いそのままに押し切ることができました。

 というわけでこの将棋はなんとか勝ち切ることができましたが、やはり途中のうっかりはいただけませんね。年を重ねるごとにこうしたどうしようもないうっかりとは付き合っていかなければならなくなるとは思いますが、なるべく増えすぎないようにしていきたいですね。

カテゴリー: 研究会

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