どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【守備力が低い瞬間に踏み込む】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 11, 2024
こちらは銀取りを掛けられていますが、相手は持ち駒が香だけで玉周りに金も居ないので、非常に守備力が低い格好です。こうした状況は、踏み込むチャンスですね。… pic.twitter.com/lrbWXYSxz5
どう見ても優勢な将棋だったのに、寄せがスマートに進まず逆転されてしまった……という悔しい経験をされた方は少なくないのではないでしょうか? そこで今回は、敵玉をスマートに寄せるための考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
相手の守備力が低い瞬間に踏み込む
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗3五歩と指し、銀取りに歩を打ってきたところです。
この局面は、こちらのほうが玉が安全だったり、駒の効率の差で大きくリードしていることから、こちらが優勢な局面です。ただ、こうした場面で緩んでしまうと、たちまち難しくなってしまうのが将棋の厳しいところです。あと一押しをどう決めるか、という状況ですね。
さて、この銀取りをどう対処するかですが、ぱっと目につくのは☖4三銀と引く手ではないでしょうか。確かに、これで致命的な問題が生じることはありません。
ただ、それを指すと☗1三香成☖同香☗3四香と攻められたとき、こちらは条件を悪くしている側面があります。
なぜ、この局面の条件が悪くなっているのかと言うと、相手に金を入手されてしまう形になっているからです。金が持ち駒に加わるとそれを使って受ける手段が生じるので、相手は守備力が格段に上がります。そうなると、寄せの難易度も上がるので条件が悪くなってしまうのです。
厳密には上図の局面もこちらが勝ち筋ではありますが、金を渡さずに勝つ順があれば、それに越したことはありません。
そうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、銀を逃げない手を選びました。具体的には、☖7七桂と捨てます。これが最もスマートな勝ち方になります。
これを☗7九玉と逃げると、☖8九桂成☗同玉☖8七歩の追撃が厳しいですね。☖8七歩を☗同銀だと☖7七飛が角銀両取りになります。これは大きく駒得しながら攻めが続くので、相手は支えきれません。
よって、上図で☗7七同銀と応じるのは妥当ですが、☖6七歩成☗同歩☖同桂成で自然に上から押さえていけば、とても分かりやすい状況に持ち込むことが出来ました。
これは詰めろではありませんが、こちらは☗3四歩と取り込まれても詰めろにならないので、☖7八金☗5九玉☖5七成桂と迫れば明快に一手勝ちです。よって、相手は受けに回らざるを得ませんが、持ち駒が桂香だけでは有効な受けがありません。こうしたとき、相手が金を持っているか否かという違いが顕著に現れますね。
こうして二つの変化を比較すると、銀を逃げた変化と逃げずに踏み込んだ変化では、分かりやすさに雲泥の違いがある印象を受けたのではないでしょうか。
敵玉をスマートに寄せるためには、粘りの手段を与えさせないことが肝要です。そのためには、上図のように相手の守備力が低い瞬間に踏み込むことが大事です。特に、相手が金駒を持っていないときは受けの手段が少ないケースが多いので、そうしたシチュエーションは受け無しに追い込むチャンスです。こうした点を意識して寄せの組み立てを考えると、ミスを減らせるようになるのではないかと思います。
持ち駒の金の有無に敏感になろう
上記で述べたように、今回の題材では相手が持ち駒に金を持っているか否かという点が、鍵となる部分でした。将棋の終盤戦において、持ち駒の金は相当に価値が高い存在なので、それの有無には敏感になっておくことが大事です。
なお、終盤における持ち駒の金の価値の高さは、「金はトドメに残せ」「金無し将棋に受けて無し」という格言が示唆していることでもあります。加えて、終盤になると駒損を無視して大駒で囲いの金を剥がすような手が有効になりやすいことも、それを裏付けていると言えます。そうした要素を意識して指し手の選択を考えると、これまでとは違う感覚で将棋が指せるのではないかと思います。
また、こうした敵玉をスマートに寄せるためのコツは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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