どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【駒得しているときの考え方】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) January 11, 2025
こちらはほぼ無条件で桂得しており、優位を掴んでいます。この香は☖同角と取っても悪くないですが、☗23飛成の侵入を許すと嫌らしいところもありますね。… pic.twitter.com/NjLQaN14ff
将棋の中盤戦は茫洋なところがあり、ときには何を指せば良いのかサッパリ見当がつかない状況に直面することも少なくありません。そこで今回は、中盤戦の判断がクリアになる考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
駒得している場合は長期戦を志向する
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗1五香と指し、攻勢に出たところです。

この局面は、こちらが守勢になっており、相手の攻めを凌ぐ展開になっています。ただ、現局面は桂得しており遊び駒も一つも無いので、形勢はこちらが優位を握っています。このアドバンテージをどのように拡大するかが、こちらの命題ですね。

こちらは香を取ることが出来ますが、それを指すと☗2三飛成と突進される手が気になります。また、☖3二金で2筋を補強しようものなら、☗2四飛☖同歩☗3二角成で泣きを見ることになります。

ただし、現局面では2筋を放置していても、次に厳しい攻めがあるとは言えません。ゆえに、上図では☖9五歩で攻め合いを選ぶのは一案と言えます。これは手持ちの桂や歩を活かした指し方ですね。
ただ、これには☗4四歩☖同歩☗9五歩と応対される手が厄介です。こちらは端に歩を連打して香を釣り上げ☖8四桂で攻めますが、相手も☗4三歩で嫌味をつけてきます。

こちらは駒得しながら相手の囲いを崩せるので、悪い道理はありません。しかしながら、こうした斬り合いの進行になると、こちらの方が玉型が薄いので、逆転されるリスクが高まることは懸案と言えます。
加えて、こうして局面が激化すると駒得している恩恵が活きにくくなる側面もあり、それも上図を選びたくない理由の一つと言えます。駒得しているということは相手よりも戦力が多い(すなわち体力で勝っている)ので、短期決戦よりも長期戦を志向するほうが勝ちやすい局面を作れるケースが多いのです。
そうした背景から、冒頭の局面で筆者は、局面を落ち着かせる方針の手を選びました。具体的には、☖3二銀と指します。これが長期戦に持ち込む一着ですね。

ここに銀を打っておけば、次こそ安心して1五の香が取れます。☗2四飛☖同歩☗3二角成の筋もありませんね。また、☗2二歩も☖8一飛で痛痒を感じません。銀を打つのは過剰投資のようにも見えますが、こうして斬り合いにしない展開を選べば、自ずと駒得している優位性が光ってきます。
相手は手を作る必要があるので、本譜は☗9五歩と暴れてきました。ただ、これは素直に☖同歩でも良いですし、☖1五角で香を召し取っても問題ありません。後者のほうが、3二に銀を打った手の顔を立てていると言えるでしょう。

ここで☗9四歩には、☖9六歩☗同香☖8四桂で切り返せます。しかし、端歩が取り込めないようでは、相手は有効な手段がありませんね。こちらは☖3七角成や☖9五歩など、着実にポイントを重ねる手が多く残っているので、全く手段には困りません。上図はこちらの駒得が大きく、優位の拡大に成功したと言えるでしょう。
こうした進行を見ると、攻め合いではなく、銀を打って長期戦を目指した姿勢が賢明であることがよく分かります。

中盤で自身が駒得している場面では、斬り合いを挑むよりも長期戦に持ち込む方針を選ぶほうが得策です。そうして長い戦いに持ち込めば持久力の有無が問われる展開になるので、駒損している側は自ずと苦しくなります。特に、今回の題材のような自軍のほうが明らかに玉の堅さで劣る場合は、尚更それを選ぶほうがクレバーです。こうしたことを考慮すると、選択が難しい局面を乗り切れる可能性が高くなるかと思います。
攻め駒を一つずつ消していく
ちなみに、冒頭の局面で直ちに1五の香を取ると☗2三飛成を許すことが気になると述べましたが、実を言うと、これを指して良さを求めるのも立派なプランです。
相手はもちろん☗2三飛成と指して来ますが、そこで☖2二歩と打って敵の竜を追い払うのが大事な一着ですね。

この手に代えて☖2三同飛☗同角成と進めてしまうと、飛車交換になるので局面が収まらなくなります。そうなると長期戦に持ち込めないので、こちらは思わしくありません。

なお、代えて☖2二香は有力ではありますが、☗3二銀で強引に飛車交換に持ち込む手が嫌味です。☖2二歩なら☗3二銀を打たれたとき香を温存している(及び相手に取られない)ので、これは怖くありません。また、上図で☗2九竜には☖2三銀で、さらに駒得を拡大すれば良いでしょう。
長期戦に持ち込むためには、相手の攻めの火種を消すことが求められます。そのためには、シンプルに敵の攻め駒を一つずつ消していくのがベストです。☖1五角や☖2三銀は、その姿勢を取っているので有効な指し手になるという訳ですね。
また、こうした中盤の難所で意識しておくと役立つことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2025年3月9日 8:09 AM
ともすると切り合いを考えてしまいがちですが、局面を落ち着かせることも大事なんだなぁと勉強になりました😉