どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【右玉を攻略する定跡】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) June 6, 2025
こちらが飛車先の歩を交換し、相手が☗55銀と進軍したところ。相手は攻撃志向の指し方ですが、ここは☖65桂と強気に指せば優位を掴めます。… pic.twitter.com/uLbtjEcb4b
右玉という戦法は守備力が高いので、これを相手にしたときは、きちんとした打開策を用意しておくことが大事です。今回は、その方法を述べたいと思います。
銀の進軍を逆用する
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から解説します。図は相手が☗6六銀と指し、攻めの姿勢を見せたところです。

こうした局面は、角換わり右玉において頻出しやすい形の一つです。右玉は一般的には受け身の戦法と認知されていますが、このように銀を繰り出す構想は攻撃的であり、対策を知らないと一気に形勢を損ねかねないので手強い相手と言えます。
こちらとしては、相手が銀を上がったことを咎めるべく、☖8六歩☗同歩☖同飛と進めたいところ。ただ、これを指すと相手は☗5五銀と進軍していきます。これにどう対処するかが極めて重要ですね。

こちらは☖5四歩で追い返すことが出来れば苦労はないですが、それは☗4四銀☖同銀☗7七角で技が掛かってしまうので成立しません。また、4四の地点を補強するなら☖4三金右ですが、この金を上がると下段に隙が生じるので、☗5一角と裏から攻められてしまいます。
上記のように、こちらは敵の攻めを受け止める姿勢を選んでも、なかなか上手くいきません。それよりも、冒頭の局面と同様、相手が銀を繰り出したことを逆手に取る姿勢で指すのが得策です。

右玉側が銀を繰り出した弊害としては、自陣の守備力が低下していることが挙げられます。したがって、こちらはその弱点を突く方針が良いですね。具体的には、☖6五桂と跳ねるのが絶好の切り返しとなります。

これは☗7七角の攻め筋を封じつつ、5七の地点に利きを届かせた意味があります。それにより、将来☖5七銀と打つ手が大いに期待できる攻め筋となります。
例えば上図で☗4五歩には、強く☖5四銀とぶつける手が成立します。これは相手が5五に銀を繰り出したことを完全に逆用しているので、こちらはしてやったりの展開です。

右玉としては、6五の桂を盤上に残していると、☖5七銀の脅威がつきまとうので、これを消すのが賢明です。ゆえに上図では☗6六歩が最有力ですが、これを指すと敵の銀は可動域が狭まります。よって、☖5四歩で銀を詰ますことが出来ますね。

ここから平凡に桂と銀を取り合うと、明らかに右玉側は損をします。これは玉型の差が大きいですね。よって、一回☗4四銀☖同銀の交換を入れてから☗6五歩で桂を取ります。こうすれば囲いの銀が離れるので、玉型の差は大きく広がりません。
ただ、現実として銀桂交換の実利は大きく、この進行はこちらも歓迎です。☗6五歩に対して候補手は複数ありますが、☖5五歩と突くのが最もリターンの大きい一着と言えるでしょう。

これは☗7七角の両取りを先受けしつつ、5筋の歩を取り込む含みを作った意味があります。やはり5七の地点は狙い目の一つで、そこを攻撃しやすい状況にしておく手は高い価値があるのです。
上図で右玉は8筋が素通しなのが気になります。しかし、☗8七歩☖8一飛と進めると☖5六歩の取り込みが発生するので、☗8七歩が味の良い受けにならない側面があります。

ただ、8筋が素通しになっていると、右玉は安心して攻めに専念できません。例えば☗4五歩☖3三銀☗4四桂と攻めようものなら、☖同銀☗同歩☖2六桂というカウンターが飛んできます。☗同飛には☖8九飛成があるので、これは崩壊しています。
また、この☖2六桂の他には、☖6六桂や☖4六歩☗同銀☖5四桂といった攻めも強力です。このように、上図の右玉は自陣にかなり傷があるので、桂を渡すと自玉の寿命を縮める可能性が大なのです。しかし、桂を渡さずこちらの囲いを攻撃するのも至難の業ですね。したがって、上図はこちらが優位を掴んでいると言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☖6五桂と積極的に攻める姿勢を見せたことで、相対的に自玉が安全になっていることが読み取れます。

このように、右玉側が銀を前線に繰り出す構想には、その銀の進軍を逆用する方針で戦うのが得策です。具体的には5七の地点が手薄になったことや、5五に出てきた銀を目標にするのがコツです。また、この指し方は先後に関わらず採用可能なので、右玉に困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
端の突き合いがある場合
なお、上記で解説した図面には、9筋の端の突き合いが無い形でした。ただ、この突き合いが入っている場合も頻出するので、それも併せて覚えておくことが大事です。

9筋の突き合いが入っている場合も、基本的には同様に進めて問題ありません。ただ、一つ注意しなければならないこととして、銀桂交換になった後に、☖5五歩と突く手は条件が悪くなっていることが挙げられます。つまり、上図で☖5五歩だと☗6四歩☖同銀のときに☗9七角で駒損になってしまうからです。
したがって、この場合は☖8一飛と引いて、飛車の配置を変えておくのが賢明です。以下、☗6四歩には☖同銀と応じましょう。

このまま局面が落ち着けば、やはり銀桂交換の駒得が光ってきます。ゆえに右玉は攻めるしかないのですが、相変わらず桂が渡しにくい状況なので、その手段は簡単ではありません。この場合は、将来の☖6六桂が期待値の高い反撃になりやすいですね。
また、☗8二歩や☗7二角で飛車を追われたら、☖4一飛が味の良い逃げ場になります。4筋をケアできるので、この位置に飛車が移動しても悪い配置にはなりません。上図も右玉は銀桂交換の駒損の代償が求めにくいので、こちらが満足のいく進行です。この進行も実戦では出現頻度が高いので、指しこなせるようになっておくと、頼もしい武器になることでしょう。
また、こうした右玉を攻略する有力な構想は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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