どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【相居飛車の力戦で役立つテクニック】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 15, 2025
こちらは2筋の歩交換が行える状態になっています。ただ、ここでは☗24歩と突くよりも、☗68銀や☗38銀で陣形整備を優先するほうが良いですね。… pic.twitter.com/C2fmwArmJr
相居飛車の将棋では、後手側が研究勝負を避けるために、あえて定跡を外して力戦型に誘導してくるケースがあります。そうした将棋になると定跡全体の知識は役に立ちにくいですが、部分的な考え方に関しては応用できるケースが多々あります。今回は、そうしたことをテーマに解説を進めましょう。
単純な歩交換で満足しない
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖6二銀と指し、銀を活用したところです。

この将棋は、元々こちらは角換わりを志向していました。ただ、相手は角道を開けずに☖5二玉や☖6二銀を優先し、定跡を外した指し方をしています。こちらは自分だけ歩交換の権利を得ているので、不満はありません。しかし、こうした条件の良さを具体的な良さに結びつけるのは簡単な技術ではないので、漫然と指していると優位性が徐々に薄れてしまいます。ゆえに、こちらはきびきびと良さを追求する指し手が必要ではありますね。
さて、上図では歩交換が行えるので、☗2四歩と指すのは自然ではあります。ただ、結論から述べると、ここはそれよりも☗6八銀などで歩交換を保留するほうがクレバーな指し方になりますね。

なぜ、直ちに歩を交換しないのかというと、歩交換以外の得を追求したいからです。つまり、もしここで☖6四歩や☖7四歩なら、こちらは☗2四歩☖同歩☗同飛から横歩を取る手が生じます。そうなると歩交換しながら歩得になることが見込めるので、直ちに☗2四歩と突くよりも遥かに条件が良くなりますね。
こうした背景があるので、上図で相手は☖6四歩や☖7四歩が指しにくくなっています。それを指すためには、☖1四歩と整備するのが一案です。対して、こちらは☗3八銀と整備しましょう。やはり、ここでも歩交換を見送るのが賢明です。

もし、ここで☖3四歩なら、☗2四歩☖同歩☗同飛から横歩取りを狙うのが効果的な順になります。これは歩得が見込めるので、こちらは具体的な良さが得られますね。
ゆえに、後手としては☖6四歩から駒組みを進めるのが妥当です。今度は☗2四歩☖同歩☗同飛とされても、☖6三銀で歩を守る余裕があるので大丈夫です。このように、☖1四歩という整備は、6筋や7筋の横歩取りを警戒した意味があります。

ただ、☖1四歩型は3筋の横歩取りを警戒できているものではありません。それを踏まえると、こちらは☖3四歩を指させるような状況を作れば良いわけです。具体的には、☗1六歩☖6三銀☗3六歩と進めます。こうすれば、こちらは「歩交換しながら歩得する」展開が目指しやすくなります。

この☗3六歩は、☗3五歩と伸ばす手が狙いの一つです。それが実現すれば、相手は角が使いにくくなるので、作戦勝ちが見込めます。後手は☗3五歩と突かれたときに☖1三角が利けば良いのですが、それには☗1五歩があるので成立しません。
上図で後手が☗3五歩を阻止するには、☖3四歩と指さざるを得ません。ただ、これを強要させれば☗2四歩☖同歩☗同飛から横歩を取る形に持ち込めますね。

ここで☖2三歩は、もちろん☗3四飛で問題ありません。後手としては歩を打たないほうが勝りますが、先手は☗3七桂や☗5八玉で陣形を整備して万全の状態にしてから☗3四飛で横歩を取れば良いでしょう。上図はこちらが一方的に歩交換できていること、歩得になりそうなこと、1~3筋で手を作れそうな状況であること。これら三点のアドバンテージが大きいので、先手が優位に立っていますね。
こうして一連の進行を見ると、こちらはあえて歩交換を遅らせたことが、具体的な良さを得ることに繋がったことが分かります。

こうした自分だけ飛車先の歩交換が行える力戦形になった場合、こちらは安直に歩交換をしないことが肝要です。歩交換だけでなく、それ以外の得を追求するほうが、より大きなリターンが得られます。この考え方は幅広い場面で応用できるので、ぜひ活用してみてください。
急戦と持久戦が両方できるようにする
ところで、今回の題材ではメインテーマではなかったので多くは言及しなかったのですが、こうした力戦形の将棋では、「急戦と持久戦を両方選べるようにする」こともポイントの高い行動です。

改めて、冒頭の局面を提示します。ここでは駒組みの種類が豊富にあり、例えば☗8八銀→☗6八角という順で矢倉を目指すのも一案です。
ただ、矢倉は持久戦を強く意識した指し方なので、相手は急戦を警戒する必要がありません。そうなると攻められる心配が少ないので、駒組みの自由度が格段に上がります。

逆に、成功例のほうは雁木や中住まいなど複数の囲いが選べる組み方をしています。ゆえに、相手は急戦と持久戦の両方を警戒する必要があり、それら二つの指し方に対応できる駒組みを選ばなければいけません。そうなると自ずと選択肢が狭まるので、敵の駒組みの自由度を下げることが出来ますね。
このように、将棋の駒組みは急戦と持久戦を両立した駒組みを行うのが最強です。これは力戦形でも定跡形でも変わらない不変の法則と言えます。こうした点を心掛けて駒組みを行うと、一皮むけた将棋が指せるようになるかと思います。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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