どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【一度攻めたら方針を徹底せよ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 15, 2023
こちらは持ち歩を活かして☗35歩で桂頭を攻めたいですね。問題は☖43銀と引かれた後ですが、☗16角でやはり桂頭を狙いましょう。
☖52角の辛抱には右桂を活用します。最終図は次に☗34角→☗36飛から、再び桂頭を狙う手が楽しみですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/HqJuUKE9dY
将棋は中盤戦に入ると、互いの駒がぶつかって来るので序盤よりも選択肢がぐっと増えてきます。未知の局面を迎えたとき、どういった方針に沿って戦えばよいのか分からなくなった経験がある方は少なくないでしょう。そこで、今回はそうした状況を乗り切るための考え方を解説したいと思います。
指し手に一貫性を持たせよう
改めて、上記ツイートの局面を振り返ってみましょう。図は相手が☖2一飛と指し、2筋の逆襲を視野に入れたところです。
相手は次に、☖2四歩→☖2五歩を狙っています。それを無条件で喫してしまうと、こちらは飛車の働きが悪くなり、芳しくない状況に追い込まれますね。
ただ、裏を返せば☖2四歩→☖2五歩の二手が来ない間は、こちらは被害が及びません。よって、それを指される前に敵陣を攻略してしまえば良いという見方も出来ます。
さて、敵陣を攻めるとなると、どこに目が向くでしょうか。やはり、3三の桂をターゲットにしたいですね。どんな戦型でも、桂頭は弱点の一つです。
という訳で、本譜は☗3五歩と突きました。後手は3四の地点を守る必要があるので、☖4三銀と引いてきます。問題は、ここからですね。
なお、直前の☗3五歩の突き捨ては、「3四の地点に歩を打つ」ことが狙いです。こちらとしては、その方針に則った行動を取りたいですね。そうなると、3四の地点に数を増やす手段が候補に上がります。
したがって、筆者は☗1六角と指しました。こうすれば3四に利きが増えますね。同様に後手も☖5二角で、利きを増やして受けに回ります。
互いに角を打ち合いました。ただ、相手は息苦しい場所に角を使っています。なので、それに満足して穏便に指すプランも一理あるでしょう。
しかし、ここで攻めを緩めてしまうと、「3四の地点に歩を打つ」という方針から逸れることになります。加えて、こちらは「2筋を逆襲される前に攻める」という方針もあり、ゆっくりした態度を取るのは、それとも矛盾が生じます。将棋は一貫性の無い行動を取ると、直前に指した手と齟齬が生じ、形勢を損ねることが少なくありません。
なので、やはりこちらは「3四の地点に歩を打つ」ことを実現すべく、ここは攻め続けることが必須です。例えば、[☗3四歩☖同銀☗同角☖同角☗3六飛☖〇〇角☗3四歩]という順で桂頭を狙うのが候補として上がります。
しかしながら、上記の順は☖〇〇角のところで☖4五角や☖2五角と逃げられると、飛車取りになってしまうので先手は3四に歩を打つ余裕がありません。ただ、これは攻めを繋ぐ上で大きなヒントです。つまり、☗3六飛と寄ったとき、☖4五角や☖2五角を封じれば、攻めがヒットするという理屈が成り立ちますね。
なので、筆者は上図から☗3四歩☖同銀☗3七桂と指しました。これで力を溜めるのが賢明です。
こうして桂を活用すれば、2五と4五に利きが増えるので、先述の懸念を払拭できます。後手は自身の狙いを実行するため☖2四歩と突きましたが、☗3四角☖同角☗3六飛を決行すれば、先手の攻めが成功する形となりました。
角が逃げれば☗3四歩が打てますね。また、☖4三金には☗3二銀、☖1二角打には☗3五銀→☗3四歩で攻めが続きます。後手は分かっていても3筋の処置が難しく、受け切ることが難しい状況です。ゆえに、この局面は先手が優勢でしょう。
このように、方針を一貫させることは将棋を指す上で非常に大事な考え方となります。それが一貫していれば、自身がこれまで積み上げてきた手と連携するので、一つ一つの指し手の価値がぐんと上がります。逆に、半端に方針を変えてしまうと、自身の指し手と矛盾が生じるので、それに裏切られる形になりやすいですね。難所に直面した際には、「これまで自分は何を目的に指し手を進めていたのかな?」ということを意識すると、指し手や判断に迷うことも少なくなるのではないでしょうか。
「実現」と「妨害」がキーワード
ちなみに、方針を一貫させるためには、大きく分けると二つのアプローチがあります。一つは、「自分の理想を実現すること」。もう一つは「相手の理想を妨害すること」ですね。
今回の例で言うと、「3四の地点に歩を打つ」ことが理想の実現。「2筋を逆襲される前に攻める」ことが理想の妨害になります。基本的には、このどちらかを達成することを指針にすればよいでしょう。
ただ、自分の理想を実現しても、相手も理想を実現していればリードを奪えない懸念がありますね。
なので、欲を言えば「自分の理想は実現して、相手の理想は妨害する」という状況に持ち込むのが最高の形です。そうした状況に持ち込むにはどうすればよいのか? ということを考えると、より良い判断が出来るようになるでしょう。
また、こうした理想を実現するテクニックは、他にも様々な種類があります。詳しくは、拙著「盤上のシナリオ」に記載しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです!
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年8月26日 5:14 AM
攻めの要領が、わかりました🎵
桂頭、角頭は、攻めの一つのポイントなのですね!💡