どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【相手の攻めを切らすテクニック】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 19, 2023
相手の攻めを、どう凌ぐかという場面。ここは☗54銀が最適ですね。
これで5五の桂を支えていた歩を刈り取れば、相手は桂が不安定になり、有効な攻めが繰り出せません。
攻め駒を支える土台を消すことは、受け側にとって価値が高いですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/EPjmrccRdt
将棋を指していると、ときに相手が無理攻めを行ってくるケースもありますね。ただ、それを正確に受け止めるのは、なかなか簡単なことではありません。そこで今回は、相手の攻めを切らすときに有効になる考え方をテーマに、解説を進めたいと思います。
相手の攻め駒を安定させない
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖4四銀と指し、銀交換を迫ったところです。
具体的な指し手を考える前に、まず現局面の状況を整理しておきましょう。
こちらは、相手の囲いを攻撃する態勢は整っていません。けれども、☗2三桂成や☗5六歩などで、相手の攻め駒を取りに行く楽しみが残っています。なので、相手の攻めを受け止めてしまえば、自ずと駒得になることが期待できる局面だと言えます。
というわけで、相手の攻めをどのように切らす(堰き止める)かが、現局面におけるこちらのテーマですね。
では、具体的な指し手を考えてみましょう。
まず、こちらは☗2三桂成と指せば、角を取ることが出来ます。☖3一角には☗3二成桂で追撃すれば問題ありません。つまり、☗2三桂成を指した時点で、こちらが駒得できるのは確定しています。
ただ、☗2三桂成には☖4五銀☗1三成桂☖4六銀と突進されたときが問題ですね。
こうなると4筋が突破されそうですし、相手は攻め駒が躍進しています。これは駒得でも相手の攻めを受け止める展開になっていないので、こちらは非勢に陥っていますね。
このように、相手の銀をスムーズに進ませてしまうと、攻めを切らす展開にはなりにくいものです。
では、冒頭の局面から☗4四同銀☖同飛☗4五銀と進めるのはどうでしょうか。これなら4筋を突き破られる心配はありません。
しかし、これには☖4五同飛☗同歩☖3四歩で、角道を通しに来られたときが厄介なのです。
☗2三桂成には、もちろん☖5七角成です。それを実現されると、次の☖4六歩が痛烈なので支えきれません。また、☗3二飛☖3五歩☗同歩で角の捌きを抑えようとしても、☖4三銀☗3三飛成☖3二銀打で打った飛車を捕獲されるので上手くいかないですね。
この変化も、こちらは駒得にはなっています。けれども、相手の攻めを受け止めることは出来ていません。一体、どこに問題があるのでしょうか?
相手の攻めが止まらなかった理由の一つに、5五の桂が安定していたことが挙げられます。先述した二つの失敗例の変化は、どちらもこの桂が攻め駒として機能していますね。
それを踏まえると、こちらはあの桂が攻めに機能しない展開を目指すことが、攻めを受け止める鍵だと考えられます。なので、筆者は☗5四銀と指しました。これが賢明な一着になります。
こうして5四の歩を刈り取ると、5五の桂が不安定になった印象を受けるのではないでしょうか。後手は4四の銀が動くと、☗5五角で桂を取られてしまいます。しかし、あの銀が動けないとなると、効果的な攻めが見当たらないですね。
後手は、あの桂が宙ぶらりんの状態だと、どうにも身動きが取れません。改めて桂に紐をつけるなら、☖5三歩☗6五銀☖6四歩☗同銀☖5四歩と進めるくらいです。しかし、これには☗2三桂成で角を取りに行けば、こちらの優位は確固たるものになりますね。
相手は角が捕まっており、こちらの囲いを攻撃する手段もありません。ゆえに、この局面は攻めを切らすことに成功したと言えるでしょう。
このように、相手の攻め駒を不安定な状態にさせると、驚くほど攻め足が止まってしまうことは多々あります。特に、攻め駒を支えている土台(この場合は5四の歩)を除去することは効果が高いので、受けに回る際には積極的に狙っていくと良いでしょう。
駒の損得ではなく、攻め駒の数に注目せよ
ちなみに、相手の攻めを切らす際には、もう一つ意識しておくと良い考え方があります。それは、「駒の損得ではなく、攻め駒の数に注目する」ことですね。
例えば、上図の失敗例だと、相手の攻め駒は[1三の角・5五の桂・持ち駒の二枚の銀]の四枚ありますね。将棋には「四枚の攻めは切れない」という格言があり、その態勢を作られると、受け切りは困難になります。そして、攻めを押し通されてしまうと、多少の駒得は関係なくなるので得を主張できません。これは、もう一つの失敗例も同じことが言えますね。
同時に、この二つの失敗例は、相手の攻め駒の数が減っていないことにも注目して頂きたい部分です。
逆に、成功例の変化はどうでしょうか。これは駒得にはなっていませんが、☗5四銀を指し相手の歩を削ったことで、攻め駒を減らすことが出来ています。たった一枚の歩と言えども、攻めに必要となる駒を消していることが、とても大きな意味を持つのです。
このように、相手の攻めを切らす際には、駒得することよりも、相手の攻め駒の数を減らすことを優先することが肝要です。こうした観点で受けを考えると、より良い選択ができるようになるでしょう。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年9月27日 5:21 AM
答えは合っていましたが、
過程のよみが参考になりました🎵