どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【終盤は攻め駒を接近させよ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 2, 2023
ここは☖38金で飛車を取るのが自然。ただ、次の☗49飛には☖同とと応じるのがポイントです。
代えて☖49同金なら金は取られませんが、敵玉から離れるので寄せが遠のきます。終盤では、駒の損得より敵玉にプレッシャーを掛けることが大事ですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/vPhKT0Lhgo
将棋の終盤では、迅速に敵玉を寄せることが求められますね。そして、その際にはどんなことを意識すればスピーディーな寄せが実行できるのでしょうか? 今回は、そうしたことをテーマに解説を進めましょう。
接近することが大原則
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☗3五同銀と指し、こちらの銀を取ったところです。
具体的な指し手を考える前に、まず現局面の状況を整理しておきましょう。
玉型は、こちらが勝っています。理由は、こちらの方が自玉周りの守備駒が多いからです。ただ、この玉は決して堅くはないので、圧倒的にこちらがリードしている訳ではありません。
駒の損得は、こちらが金桂交換で駒得です。ただし、局面は終盤戦なので、この程度の損得は些末な問題と言えるでしょう。
駒の働きは、いい勝負。お互い、明確に遊んでいる駒はありません。ただし、次に☗4六馬と引かれると、馬の働きの差がはっきり出てくるので、そこには注意が必要です。
話をまとめると、現局面は玉型の差で少しリードがあるので、こちらが指しやすい将棋と言えます。加えて、手番を握っていることも大きいですね。それを活かして、ここで相手を突き放したい場面です。
さて、原則として、終盤は攻めの手から考えるのが基本です。なので、筆者は☖3八金と指しました。飛車を取りに行く自然な攻め方ですね。
相手は飛車をタダで取られると被害が大きいので、☗4九飛で銀を取るのは妥当です。
このとき、こちらは飛車の取り方が二通りありますね。駒の損得を大事にするなら、☖4九同金と指すことになります。
しかし、この☖4九同金という手は、敵玉から離れてしまうので、何となく嫌な感触を覚えるのではないでしょうか? 実際、☗1五歩と突かれると、こちらは一気に苦しい情勢に陥ってしまいます。
次に☗1四歩と取り込まれると、こちらは一手一手の寄り筋ですね。ゆえに、攻め合いで勝つには、ここで敵玉に詰めろを掛けることが必要です。ただ、残念ながらその手段はありませんし、☖2九飛と打っても☗2八銀で後続がありません。なので、この局面はこちらの負けですね。
この変化は、こちらの攻め駒が渋滞しており、敵玉がずいぶん遠のいてしまいました。この状況を招いた一番の原因は、先程の☖4九同金にあります。こういった自ら敵玉を離れていく手は、寄せにおいて禁忌と言える一着です。寄せにおいては、自軍の攻め駒をとにかく敵玉へ接近させないといけません。
ゆえに、☗4九飛の局面では☖同とと取るのが正着です。今度は3八に金が残っているので、相手は攻めに転じる余裕はありません。なので☗3八玉は妥当ですが、☖3九と☗同玉☖4九飛で肉薄していきましょう。
☗3八玉には☖1九飛成、☗2八玉には☖4七飛成で攻めが続きます。失敗例の変化と比べると、こちらの攻めがスムーズに進んでいますね。相手に金を取られていますが、攻め駒が常に敵玉へプレッシャーを掛けていることが読み取れます。
このように、寄せを行う際には攻め駒を敵玉に接近することを第一に考えましょう。これは非常に基本的なことですが、上図のように駒の損得が絡むと、その法則に反してしまう方は少なくないように感じます。しかし、☖4九同金のような手は、直感的にダメだと切り捨てる思考が大事ですね。
必要な駒を取りに行く
ところで、上図で解説した順は敵玉に迫ってはいますが、☖4九飛と打った局面は、明快に勝ちという訳ではありません。実を言うと、冒頭の局面では☖3八金よりも更に良い手があるのです。
具体的には、☖2四金がクレバーな一着ですね。
次に☖3四金☗同銀☖同馬と進めば、こちらの玉はすこぶる安全な格好になります。なので、相手はこの金を無視するのは現実的ではありません。
しかし、素直に☗2四同銀☖同歩と進めると、相手は☖3八銀打と☖3四馬という厳しい狙いが残ってしまい、これも対応に困ることになります。ゆえに、こちらとしては、この方がより良い選択でしたね。
確かに冒頭の局面では☖3八金と打てば飛車は取れますが、3八には金ではなく、銀を打つ方が厳しい攻めであることは言うまでもありません。ゆえに、こうして銀を取りに行く手の価値は高いのですね。
このように、終盤戦では「攻めに必要な駒を取りに行く」というアクションプランが絶大な威力を発することは、多々あります。寄せを考える際には攻め駒の接近に加え、この点も考慮すると、より良い判断が行えるようになるでしょう。
また、こうした終盤特有のノウハウは、拙著「終盤戦のストラテジー」にもふんだんに記載しております。よろしければ、こちらもご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年12月7日 10:13 AM
3ハ金を自分も考えました😉
その後、4九と金まで!💫
でも確かに2四金はいいですね🎵