どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【目標物は作らない】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) July 22, 2024
相手が3筋の歩を伸ばして角道を通したところ。5七の地点を守るなら☗58銀が一案です。ただ、これは☖37歩成と指されたとき、打った銀が目標物になってしまう懸念があります。… pic.twitter.com/VRVhTfFdkl
将棋の終盤戦において、自玉に脅威が及んだときは、概ね受けが必要なものです。ただ、受けは攻めとは違い理想図が見えにくいですし、教材の数も少ないので技術の習得が難しい分野ではあります。
そこで今回は、そうした場面で役に立つ受けの考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
守備駒が目標物にならないようにする
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖3六歩と指し、角道を通したところです。
こちらは飛金交換の駒損ですが、敵玉の近くにと金を作っているので、攻め駒が足りなくなる懸念はありません。ゆえに、ここは自玉の安全度を上手く確保すれば、楽しみが多い局面と言えます。
問題はどのように受けるかですが、現状は☖5七角成からの詰めろが掛かっているので、それを防ぐことは必須です。同時に、相手は☖2八飛と打つ攻めも視野に入れているので、それに対処しやすい形を作ることも求められています。
さて、それらを踏まえると、ここで☗5八金右のような受け方は、あまり感心しません。なぜなら、これは☖5七角成には対応しているものの、☖2八飛と打たれやすくなっている嫌いがあるからです。そこで☗4八歩とブロックしても、☖3八とから壁を削られるので受けになりません。
それを踏まえると、ここでは☗5八銀と受けるのは一案です。これも5七の地点を強化していますし、今度は4九に金がいるので、☖2八飛と打たれても怖くありませんね。
しかし、実を言うと、この受け方もベストとは言えません。というのも、☗5八銀には☖3七歩成でと金を作られる手が厄介だからです。
こうしてと金を作られると、☖4七と→☖5八とという攻め筋が生じていますね。これは打った銀が敵の目標になっており、当たりが強くなっています。ゆえに、効果が乏しい側面があるのです。
要するに、冒頭の局面では単純に5七の地点を強化するアプローチだと、他の攻め筋に対応しにくいのです。そこで筆者は、別のアプローチで受けを講じました。具体的には、☗7八玉と早逃げします。これが相手の攻めを最も緩和させる一着ですね。
これは5七の地点を開け渡していますが、玉を左辺に移動させたことで、☖2八飛やと金攻めの威力を弱めていることが自慢です。この局面なら☖3七歩成は目標物がないので効果が乏しいですし、☖2八飛も☗6八銀の合駒が堅いです。6八から打てばと金から離れているので、☖3八と→☖4九とが来ても余裕があります。
こうして目標物を作らないような受け方を行うと、結果的に相手の攻めの威力を削ぐことが出来るのです。
後手としては、と金攻めや飛車を打つ手の威力が下げられているので、☖5七角成を選んでくることも予想されます。ただ、これには☗5八金右が今度こそ有効になりますね。
ここで☖2八飛と打っても、☗6八金打と補強すれば問題ありません。4筋に守備駒を打たないようにすれば、と金攻めが当たってこないので、非常に安定感の高い玉型が作れます。かと言って、ここで馬を逃げるようでは攻めに迫力がありません。こちらは攻勢に出れる展開になっているので、上図は攻め合い勝ちが期待できる局面ですね。
こうして見ると、☗7八玉を指したことで、こちらは一気に敵の攻めを凌ぎやすい配置になったことが読み取れます。
このように、終盤で受けに回るときは、自分の守り駒が目標物にならないようにすることがコツの一つです。特に、と金に当てられないようにすることは価値が高く、そうした配置を作れば崩れにくい玉型になります。安直に金駒を打ちつけるのではなく、攻めの目標になりにくい場所に金駒を置く意識が重要です。
確実に必要になる手から指す
繰り返しになりますが、今回の題材では目標物を作らないことが重要な部分でした。ゆえに筆者は☗7八玉と指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「確実に必要になる手から指す」ということですね。
改めて、冒頭の局面を振り返ってみましょう。ここでは様々な受け方がありますが、どんな受けを選んだとしても、そのあとに「☗7八玉」という手を指す可能性は極めて高いと感じるのではないでしょうか。勝つにせよ負けるにせよ、自分の玉が6八に留まったまま決着がつくとは思い難いですね。
つまり、上図において「☗7八玉」という手は、いつか必ず指さなければならない手なのです。そして、将棋というゲームにおいて、必ず必要になる手は早めに指しておいた方がよい性質があります。これは、先に必要な手を指しておくと、相手の手を見てから最適な手段を選べるようになるからです。つまり、対応力が上がるという訳ですね。
逆に、これを後回しにしてしまうと、それを指さなかったツケが回ってくるので、苦労する羽目になります。こうしたことも意識しておくと、良い判断が行えるようになるかと思います。
また、こうした終盤で受けに回る際に心掛けたことが良いことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2024年7月27日 4:36 PM
はや逃げがいい手に思いました😆
いずれ指すであろう手、という表現は参考になりました🎵