どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【対中飛車で役に立つ攻め筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 1, 2024
こちらは桂を五段目に活用できていますが、次に☗77桂で交換を迫られると、その優位性が消えてしまいます。よって、その前に動きたいですね。… pic.twitter.com/A265yI3PbV
中飛車という戦法は、非常に攻撃力が高く、かつ中央を攻めてきます。ゆえに、「気が付いたら受け身になってしまう……」と頭を悩ませている居飛車党は少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、対中飛車で攻めるときに知っておくと有力な手筋をテーマにして、解説を進めたいと思います。
桂が活用しやすい優位性を活かす
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗5五銀と指し、銀を進軍させたところです。
こちらは舟囲いに組んでおり、急戦を志向する配置になっています。ただ、こうして相手に銀をぐいっと進められると、どうしてもそれが気になり、受けることを考えてしまう方は多いのではないでしょうか。
ただ、先述したように居飛車は急戦を志向しています。ゆえに、基本的には攻めることで相手の動きに応対したいですね。
具体的には、☖6五桂と跳ねるのが有力です。もし☗6六角なら、☖8六歩☗同歩☖同飛☗8七歩☖7六飛と飛車を捌く攻めが決行できます。
そこから☗7七歩と打たれると飛車は捕まってしまいますが、☖6六飛☗同銀☖6四歩で桂を支えておけば、居飛車が満足のいく岐れとなります。
あっさり飛角交換を受け入れるのは抵抗を覚えるかも知れません。けれども、この応酬で居飛車は相手の歩をたくさん削ったことや、桂の効率に差をつけたアドバンテージを得たので、十分な見返りが期待できる局面を作れているのです。
例えば上図から☗7一飛には、☖8八歩☗同金☖5六歩☗同飛☖4五角といった攻め筋があります。こうした順を見ると、先述した二つのアドバンテージの意味がよく分かりますね。
そうした背景があったので、本譜は☗6八角と引き、☖8六歩を警戒した受け方を選んできました。
この場合は振り飛車の角が引っ込んでいるので、こちらは☖6四銀とぶつける手が指しやすくなっています。銀交換を行うと香取りが受けにくくなるので、振り飛車は☗6六銀と辛抱するのが妥当です。
ただ、こうなると相手の銀を後退させたので、こちらは脅威が大いに和らぎました。攻めを重視した姿勢が奏功している証と言えます。
さて、居飛車は好調な駒運びを見せていますが、こうした場面で攻めが緩んでしまうと、☗5四飛や☗7七桂といった手が厄介です。特に後者は価値が高く、振り飛車は桂の働きの差を帳消しに出来ることが自慢です。居飛車としては、それを許さない手を指すのが絶対です。
具体的には、☖5二飛で飛車交換を挑むのが、その方針に見合った一着となります。
飛車をぶつけて局面の状況を激しくすれば、相手は☗7七桂を指す余裕がなくなります。そうなると、居飛車は桂の効率で勝っている優位性を持続させることが出来るというわけです。
なお、上図では頑なに☗7七桂と指す手も全くないわけではないですが、☖5九飛成☗同金☖7七桂成☗同角☖5四桂が一例で、居飛車の優位は揺るぎません。この変化は居飛車のほうが玉型が堅い上に、手番を握った状態で先行しているので悪い理屈がありません。振り飛車はこうした状況に陥ってしまうので、☗7七桂と指す余裕がないのです。
振り飛車としては、☗同飛成☖同金左☗8一飛で飛車を先着するほうが勝るのですが、これには☖1五歩の端攻めが厳しく、これも居飛車の旗色が良い変化です。また、どこかで☖5六歩と垂らす手も楽しみですね。基本的に飛車交換は囲いが堅い居飛車の土俵なので、上図で振り飛車は有効な策が見当たらないのです。よって、上図は居飛車良しですね。
こうして複数の変化を見てきましたが、居飛車は☖6五桂と跳ねた手を起点にして攻勢に出れており、その結果、優位を掴むことに成功したことが読み取れます。
このように、中飛車を相手にしたときは、右桂を素早く活用し、それの働きに差をつけることで良さを求める姿勢が有力です。上図のように振り飛車の銀が進軍してくると脅威がありますが、あの銀が5五へ出てくれたほうが桂を跳びやすいという側面もあります。相手の攻めを過剰に恐れず、むしろ自分がアグレッシブに攻めることを意識するのが大切です。
相手の左金の位置に注目する
なお、今回の題材では桂の活用が主眼ではあるのですが、そのあとに生じる☖5二飛とぶつける攻め筋も鍵を握る一着と言えます。これは先述したように☗7七桂と指す余裕を与えさせないことが目的の一つなのですが、筆者がこの手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「振り飛車の金が7八に上がっていたから」ですね。
中飛車という戦法において、左金を7八に配置するのは珍しいことではありません。ここに金を配置すると8筋が強化されるので、左辺の守備力を高められる恩恵があります。
ただ、ここに金を据えると中央や囲いが手薄になるデメリットはあります。その欠点があるので、☖5二飛とぶつける手が効果的になるのですね。
裏を返せば、振り飛車の左金が☗6九金型の場合は、中央が堅いので☖5二飛とぶつける筋は、高い効果が期待できません。その場合は、シンプルに8筋方面を狙うほうが良いでしょう。このように、中飛車を攻略する上では、相手の左金の位置によって攻め筋の使い分けを心掛けると、良い判断ができるようになるかと思います。
また、こうした中飛車を攻略する際に有効な攻め筋は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2024年10月14日 9:07 AM
中飛車に対して攻め合うという手もあるのですね🎵
駒の配置で方針も変わるということですね🎵