どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【玉頭戦を競り勝つコツ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 13, 2024
こちらは馬を逃げると敵玉の寄せが遠のくので、ここは踏み込む必要があります。そうなると馬を切ることになりますが、ここはあえて☖35馬と敵玉から離れた位置にいる銀を剥がすのが賢明です。… pic.twitter.com/y2qe9wUSYh
将棋には「玉頭戦」と呼ばれるシチュエーションがあります。これは、彼我の囲いの上部が主戦場になる状況を指します。そして、玉頭戦に入ると戦いが局地的になるので、普段とは異なる考え方が必要になります。ゆえに、苦手意識がある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、玉頭戦を上手く戦うためのコツをテーマにして、解説を進めたいと思います。
敵玉を露出させる
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☗3六桂と指し、角の王手を防いだところです。

この局面は2・3筋が主戦場になっており、ここの制空権争いが重要な意味を持つ状況になっています。まさに、玉頭戦の典型と言える局面でしょう。
さて、こちらにとって2五の馬は貴重な戦力です。ゆえに、☖4三馬と逃げるのは無難な選択ですね。そして、これで形勢が悪いわけではありません。
ただ、ここで大人しく馬を逃げると、☗4四歩☖3二馬☗2五桂で追撃されたとき、こちらは条件が悪い局面になってしまいます。

ご覧のように、相手は2・3筋の厚みが強大になっていますね。こうして上部に駒をたくさん置かれると、制空権争いに押し負けてしまうので支障が生じることになります。上図はこちらが負け筋ではありませんが、好んで選ぶべき変化ではないでしょう。
こうした背景があったので、冒頭の局面で筆者は馬を逃げない指し方を選びました。具体的には、☖3五馬☗同銀☖2五金と進めます。これが玉頭戦において有効になりやすい指し方ですね。

こちらにとって、馬は最強の味方と言っていい存在だったので、それが消えたのは確かに痛手です。しかし、失敗例の変化と比較すると、彼我の厚みの差が一目瞭然であることが分かります。特に、2五の地点を押さえたのが大きいですね。玉頭戦は椅子取りゲームのようなところがあるので、とにかく主戦場に自軍の駒を置くことが大事です。

相手としては、2五に居る金を除去しないと玉頭戦で競り勝つことが出来ません。そうした考えから本譜は☗2六金と合わせてきましたが、これには☖3五金とあえて銀を取るのがクレバーです。☗同金は必然ですが、そこで☖2六歩と叩くのが、こちらにとって期待の一着ですね。

これを☗3八玉と逃げると、☖5六角☗4七歩☖2七銀という要領で下段に追い落として行けば、敵玉は寄り筋に入ります。
ゆえに☗同玉と応じるのはやむを得ないですが、これで敵玉を露出させれば、☖1五銀で王手を掛けながら主戦場に味方の駒が置けます。以降は☗2七玉☖2六銀打☗3八玉☖3五銀と進めれば、不敗の態勢が作れますね。

こうなると2・3筋の制空権を完全に掌握したので、自玉の憂いが完全に消え去りました。以降は、駒得にモノを言わせて自然に迫っていけば勝ち切れる将棋でしょう。玉頭戦を制してしまえば、自ずと大勢が決することは多いですね。
そして、この玉頭戦を制した一番の要因は、敵玉を露出させる展開に持ち込めたことにあります。

玉頭戦は、とにかく主戦場に味方の駒を置く価値が高いので、手番を取りながら持ち駒を打つ手が強力になる性質があります。それを確実に行うには、王手で駒を打つのがベストです。ゆえに、こうして敵玉を露出させる手が効果的になるのですね。こうしたことを意識すると、玉頭戦を有利に戦うことが出来るでしょう。
玉頭戦になると角という駒は…
繰り返しになりますが、今回の題材では敵玉を露出させたり、主戦場に味方の駒を置きまくることが重要な部分でした。ゆえに筆者は☖3五馬→☖2五金という順を指したのですが、これを選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「玉頭戦になると角の価値が下がる」ことですね。

改めて、冒頭の局面を提示します。この局面は戦場が2・3筋に絞られていますね。つまり、局地的な戦いになっていると読み取れます。そうなると、角という駒は有能だと言えるでしょうか?
角は広範囲に利きを届かせられることが最大の特色です。ただ、玉頭戦は局地戦かつ接近戦になりやすいので、角は使い道が難しい駒になりやすい側面があります。それを踏まえると、こちらは馬を大切に守るより、金駒と交換する方が都合が良いと言えます。ゆえに、最強の味方である馬を捨てる手が、致命傷にならないのです。こうした性質を理解しておくことも、玉頭戦を制す上では大事ですね。
また、こうした玉頭戦を有利に戦うためのコツは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2025年1月27日 10:17 AM
成り角を切るのもさることながら、銀の方を取るというのは参考になりました🎵玉頭が無防備になることによって攻めが継続できるものですね✨