どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【敵玉を寄せるときのコツ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) January 1, 2025
こちらは5八の金がタダで取れる状況ですね。ただ、あの金を取ると敵玉を広い場所へ逃がすことがネックです。… pic.twitter.com/earRLl679d
どう見ても優勢な将棋だったのに、寄せがスマートに進まず逆転されてしまった……という悔しい経験をされた方は少なくないのではないでしょうか? そこで今回は、敵玉をスマートに寄せるための考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
まずは敵玉の安全地帯を把握する
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗6四飛成と指し、こちらの銀を取ったところです。

この局面は、玉の安全度に大きな差が着いているので、こちらが優勢と言えます。どのように着地を決めるかという段階ですね。
さて、上図では5八の金が取れるので、ありがたくそれを頂戴したくなるところです。ただ、敵玉を寄せに行く前には、そうした「とりあえず目につく手」を指す前に、一つ考えなければならないことがあります。
それは、「敵玉の安全地帯はどこなのか?」 ということですね。

冒頭の局面の場合、敵玉は赤枠で囲った部分まで逃げることが出来れば、かなり安全な格好になります。ゆえに、攻め側としては、なるべくあのエリアに向かわせないアプローチで寄せの網を絞るのが理想と言えます。
それを踏まえると、上図で☖5八歩成☗同玉という進行は、必ずしも得策ではない印象を受けるのではないでしょうか。確かに金がボロっと取れるメリットは大きいですが、敵玉を安全地帯へ向かわせているデメリットにも目を向けなければなりません。
そういった背景から、冒頭の局面で筆者はあの金を取らない攻め方を選びました。具体的には、☖4五桂と打ちます。これが最もスマートな寄せですね。

この手は、次に①☖5八歩成☗同玉☖5七金、及び②☖3七角からの詰めろになっています。敵玉を4八の地点に留めることで、②の詰み筋を残していることが自慢です。また、金を取らないことで、6筋方面への逃走を防止していることも見逃せません。こうした恩恵を見ると、金を取らないほうが得策であることが良く分かります。

ここで☗4九桂と受けても、☖3七角☗同桂☖5八歩成から即詰みに討ち取れます。相手が詰めろを解除するには、☗4五同歩で桂を取るよりありません。ただ、これで4六の地点にスペースを作れば、☖5八歩成☗同玉☖4六角で技が掛かりますね。

こちらは5八の金を取ってしまいましたが、飛竜の両取りを掛けてしまえば、敵玉を安全地帯へ逃がしても問題ないと言えます。7九の飛が取れれば敵玉は受け無しですし、6四の竜が取れれば自玉が全く寄りつかなくなります。どちらに転んでも敵玉を例のエリアに逃がす弊害が無いので、5八の金を取っても良いという訳なのです。こうなると、もはや難しいところはないでしょう。
こうして一連の進行を見ると、5八の金を取るタイミングをズラしたことで、こちらはスマートに寄せが決まったことが読み取れます。

敵玉をスマートに寄せるためには、具体的な手を読む前に、まず敵玉の安全地帯を把握することが大事です。それを認識し、そこへ向かわせない要領で寄せの網を絞れば、本当に指すべき手が明瞭になるので、スマートな寄せを行うことに繋がるかと思います。裏を返せば、そうしたビジョンを持たないまま寄せに向かうと、ミスを誘発する要因になり得るので注意したほうが良いでしょう。
手掛かりを残しながら攻める
繰り返しになりますが、今回の題材では敵玉の安全地帯を把握し、そこに向かわせないことが重要な部分でした。ゆえに筆者は金を取らずに☖4五桂と指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「手掛かりを残しながら攻める」ことですね。

上図は、冒頭の局面から☖5八歩成☗同玉と進めた局面です。先述したように、この進行でもこちらは悪くありませんが、敵陣周辺に手掛かりが一枚もないので、攻めの導入が少し難しくなっています。例えば☖3七銀と打っても☗5七銀と粘られて、スッキリとはしません。

しかし、黙って☖4五桂と打つ変化なら、4五の桂と5七の歩の二枚、手掛かりが残るので、相手は守備駒を打つスペースが少なくなります。このように、盤上に手掛かりを残しながら攻めると、相手の受けの手の選択肢を減らすことに繋がるので、お得な寄せ方になるケースが多いですね。
また、こうした敵玉をスマートに寄せるためのコツは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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