どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【延命するときのコツ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) January 28, 2025
この局面は、玉の安全度に大きな差があり、こちらが苦しい情勢です。どのように粘るかですが、ここは☗39金と引くのが最も頑張れる受け方ですね。… pic.twitter.com/9rq7bvjsaU
将棋を指していると、ときには形勢が悪い状況に直面することもあるでしょう。そして、そうした場面では相手に決め手を与えない「粘り強い手」が必要になるものです。
そこで今回は、粘りのテクニックをテーマにして、解説を進めたいと思います。
竜の攻めには一段金
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖1九飛成と指し、こちらの香を取りながら詰めろを掛けたところです。

この局面は、こちらだけ自玉が危うい状態になっており、いわゆる「ひとり終盤」という状況に陥っています。こうした場面は寄せ合いなど挑めるわけがないので、とにかく延命する手段を模索しなければいけません。ひとまず、☖5九竜の詰めろを防ぐことが先決ですね。
そうなると、上図では☗3九銀と打って竜の利きをブロックするのが一案です。しかし、この受け方だと☖4六香が厳しい追撃となります。

これには☗同飛と応じるよりないですが、☖6七馬で金を取られると、こちらの玉は非常に狭いので一手一手の寄り筋です。このように、こちらは☖5九竜以外の攻め筋も見せられているので、それにも対応できる受けを行わなければならないのです。
そうは言っても、冒頭の局面から☖5九竜と☖4六香を同時に防ぐ手はありません。ゆえに手段に窮しているようですが、☗3九金と引けば、先手玉はもうひと頑張りできる形を作れるのです。

これも☖5九竜を防いだものですが、一段金の配置を作ることで、☗2八銀や☗2九銀など、竜の脅威を削ぐ受けを用意しているのが先程との違いです。将棋には「一段金には飛車捨てあり」という格言がありますが、それを応用した指し方だと言えるでしょう。
問題は☖4六香を打たれた場合ですが、今度は☗同飛☖6七馬のときに☗2八銀と打つ手が粘り強く、先手玉は一撃では倒れない形です。

先程の失敗例では3筋が壁になっていたので、先手玉は延命が難しい状況でした。けれども、上図は3八にスペースがあるので玉が広く、ゆえに耐久力が高い配置になっています。具体的には、☖5九成香が詰めろにならないことが大きいですね。

後手は詰めろを掛けることが難しいので、竜を逃げるのが自然です。ただ、☖1八竜では☗2七銀打で捕まってしまうので、逃げ場は☖1六竜しかありません。対して、これにも☗2七銀打が価値の高い受けですね。以下、☖1五竜☗1六歩☖2四竜☗2五歩までは妥当な進行ですが、こうなれば先手玉は見違えるほど安全になりました。

こうなると敵の竜を完全に追い払うことに成功した上に、将来☗3八玉→☗2九玉と早逃げする手も期待値が高いので、そう簡単には負けない格好となりました。相変わらず玉型の差があるので苦戦は否めないですが、冒頭の局面と比較すると、かなり希望が持てる局面を作れた印象を受けるのではないでしょうか。
こうした進行を見ると、☗3九金と引いた手の守備力の高さが読み取れます。

将棋において、敵の竜や飛で横から攻められるシチュエーションは、頻発するものです。そうした際には、一段金に構えて、横からの攻めに対して防波堤を作る要領で凌ぐことを考えましょう。竜(飛)の脅威を緩和すれば、敵の最大の主力を封じたも同然なので、粘りが利きやすい格好になります。ぜひ、意識してみてください。
金銀の死角が無い配置を作る
繰り返しになりますが、今回の題材では一段金に構えて竜の脅威を減殺することが重要な部分でした。ゆえに筆者は☗3九金と引いたのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「金銀の死角が無い配置を作る」ためですね。

改めて、失敗例である☗3九銀と打った変化を提示します。先述したように、この受け方は3筋が壁になることが問題なのですが、他の問題点として、2九の地点に死角が生じることも挙げられます。
つまり、このあと☗2八銀打と打って敵の竜を追い払おうとしても、☖2九竜と潜られるので上手くいきません。そうなると、自玉の延命は望めないですね。

逆に、☗3九金→☗2八銀という受け方を選べば、2九や1九に利きが届くので死角が無い守備形態が作れます。その後の☗2七銀打も、1八の死角をケアしていますね。こうして死角の無い配置を作ったからこそ、敵の竜を追い払うことが出来たのです。粘る際には、こうした金銀の配置にも注意深く意識を向けたいものですね。
また、こうした粘り強く受けるためのノウハウは、拙著「終盤戦のストラテジー」にもふんだんに記載しております。よろしければ、こちらもご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2025年3月19日 10:56 AM
参考になる受けだなぁと思います🎵当てて受けることは場合によって大事なのかなぁと思うこの頃です❗️