どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【端の応酬で得する手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) February 22, 2025
こちらは1六の歩を取れば、端を詰めることが出来そうな状況です。ただ、ここはそれ以上に☗13歩成が面白いですね。
☖同香と取らせて☗24歩☖同歩☗14歩と進めます。これで香を釣り上げれば、駒得が約束されるので端を詰める進行よりも得をしたと言えます。… pic.twitter.com/XytOk8o9JK
将棋において端攻めは、出現頻度の高い攻めですね。ただ、端の攻防は細かい違いを見抜く技術が求められるので、端攻めはなかなか難しい分野と言えます。同時に、端攻め特有の手筋も存在するので、そうした知識を多く持っておくことも重要ですね。
そこで今回は、端攻めを行う際に知っておくと役立つテクニックをテーマにして、解説したいと思います。
確実にこちらが得できる順を強要させる
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☖5二金と指し、囲いを強化したところです。

ご覧の通り、互いに雁木に組み合うじっくりした将棋です。ただ、こちらは持ち歩が三枚あり、それゆえ相手よりも攻めの手段が多い状況です。そのアドバンテージを活かしたい局面ですね。
特に、雁木は中央は厚いものの、端は手薄な弱点があります。したがって、そこから手を作ることが出来れば、理想的と言えます。

それを踏まえると、上図では☗1六歩と動くのが自然です。相手は☖同歩が妥当ですが、そこで豊富な持ち歩を活かして、どう技を掛けるかがこちらの命題です。
端攻めの常套手段としては、☗1三歩と垂らして敵の香を釣り上げる手法があります。もし、☖同香なら☗2四歩☖同歩☗1四歩☖同香☗2四飛で技が掛かりますね。
ただ、この場合は☗1三歩に☖3三角と辛抱されたとき、少し面倒なきらいがあります。

これは1五の地点に利きを届かせることで、☗1六香を牽制した意味があります。こちらは☗1六飛で歩を払うことも出来ますが、☖1三香☗1四歩☖1五歩☗2六飛☖1四香と進められると、状況が好転したとは言えません。敵の香を上擦らせたことは得ですが、この進行は歩の消費量が激しいので、指し過ぎになる懸念も抱えています。
こうした事情があるので、筆者は☗1六歩☖同歩のあと、もう少し工夫した攻め方を選びました。具体的には、☗1四歩と垂らします。これが最も端の応酬で得できる一着ですね。

傍目には控えた場所に歩を置いているので、厳しさに欠けるように感じられるかもしれません。しかし、こうして控えて打つと、相手にこの歩を排除されにくい恩恵が得られるのです。
例えば、ここで先程と同じく☖3三角と上がったとしましょう。これには☗1六飛☖1五歩☗2六飛☖1四香が部分的には必然の応酬です。ただ、今度は先述した失敗例と違い、こちらは歩の消費量が一枚、少なくなっています。先程は1三と1四で歩を取られていましたが、この場合は1三に歩を打っていないので、それが節約できているのです。
たかが一歩と思われるかも知れませんが、端の攻防において持ち歩の数は非常に重要なので、こうした部分で一枚歩が得できるのは、地味に大きな価値があるのです。

こうした事情があるので、本譜は☖7二飛と寄り、攻めに活路を求めてきました。そこから☗1六香☖1二歩と進めば、相手は端が凹んではいるものの、致命的は被害は免れたと言えます。
こちらはその進行でもポイントを稼げていますが、実はもっと得できる手段があります。具体的には、☗1三歩成と成り捨てましょう。こうすれば、端から敵陣を攻略することが出来ます。

これには☖同香が妥当ですが、ここに香を呼び寄せることが出来れば、☗2四歩☖同歩☗1四歩☖同香☗2四飛で技が掛かります。この進行のほうが、端を詰める進行よりも厳しい攻めになっていることは明白でしょう。

上図で相手は1四の香に紐をつけることが難しいですし、☖1五香も☗1四飛で無効です。こちらは香得が約束された上に、1筋から飛車も成りやすい状況なので大きくリードを奪っています。
こうして一連の進行を見ると、☗1四歩と垂らした手の価値が読み取れますね。

要するにこの☗1四歩は、☖3三角の受けを警戒しつつ、次に☗1三歩成から確実に香を召し取る狙いを持った一着なのです。手数は掛かっても、こうした確実に得できる攻めは相手に強いプレッシャーを与えるので、非常に厄介な攻め方になっています。
どうしても1三に歩を垂らすほうが厳しく見えるものですが、常にそれが正しいとは限らないので、1四に打つケースと比較することが大事です。
端攻めは持ち歩の数で最適解が変わる

ちなみに、上記の☗1四歩と垂らす攻め筋は、持ち歩が三枚あるから有効にヒットする一着でもあります。つまり、これは放置されたら☗1三歩成☖同香☗2四歩☖同歩☗1四歩☖同香☗2四飛と攻めるのが主な狙いであり、その攻めは持ち歩が三枚ないと決行できないからです。
こうした側面を見ると、先述した「端の攻防において持ち歩の数は非常に重要」という意味がお分かり頂けるかと思います。端攻めは持ち歩の数によって使える攻め筋が変わってくるので、それを調達したり節約するテクニックは、端攻めの成否に直結します。こうした点も意識すると、端攻め周辺の攻防の解像度が上がることでしょう。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです!
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【あらきっぺnote】
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