前回の出題図を再掲します。下の2つの図面(いずれも先手番)より、後手玉が詰むかどうかの考察です。

まず1つめの図面より。ここから▲43角打とする王手をまず考えます。
これは以下、△同銀、▲同角成、△同玉、▲52銀、△32玉と進みます。
このとき、後手玉は33や23に逃げられないので狭いようですが、先手の持ち駒に金駒が1枚足りず、詰みません。

そこで、▲43角打ではなく、▲41角と捨てて追う手を考えます。

一見これで詰んでいるように見えます。▲41角以下、△同玉、▲52成銀、△32玉、▲42成銀、△同玉、▲43銀と進むと下図。
こうなると以下、△31玉には▲32香、△41玉、▲52角成で、△53玉にも▲52角成、△64玉、▲65香まで、持ち駒の香車を使い切ってぴったり詰みます。

しかし、最初の▲41角を取らずに△31玉と真っすぐ引く手があります。これが問題です。

このとき、▲32歩とは打てないので(二歩)、有効な王手は▲32香くらいしかないと思われます。以下、△41玉、▲52成銀、△32玉、▲42成銀、△同玉、▲43銀と進んだのが下図。
先ほどの局面と似ているようですが、先手の持ち駒に香車がないのが大きな違いとなっています。すなわち、ここで△31玉と逃げられても、▲32香がなく不詰め、また△53玉と逃げられても、▲52角成、△64玉のとき▲65香と打てず(▲65歩と突くのは△同龍と取れる)やはり詰みません。

従って、1つめの局面は、後手玉は詰まない、という結論になります。

次に、2つめの局面を考えます。これは、初手はほとんど▲33歩成の1手かと思います。

これに対し、△同玉と取るのは、▲44飛成とします。この龍を拠点にできるのが大きいです。
以下、△22玉に▲34桂として、22の地点でばらして詰みます。

よって、▲33歩成には△同金と取る手を考えます。このとき、31の歩の守備力が強いので、手段を慎重に選ぶ必要があります。

色々な手が考えられるところですが、ここは▲32飛!と捨てる手が好手です。

なおこの▲32飛では、▲82飛のように遠くから打って、32に打たれた合い駒を▲同飛成、と取ると合い駒の分持ち駒が増えるのでより手堅いかも知れません。また、▲32飛ではなく▲32金と捨てる手もありますが、飛車を捨てた場合と大きな差はないため、以下は▲32飛からの変化を考えていきます。

まず、▲32飛に△同玉は、▲42金と打てます。

以下、△22玉、▲31飛成、△12玉、▲21銀までの詰みとなります。

次に、▲32飛に△同歩の場合。これは▲21金と打てば詰みます。

以下、△12玉、▲11金、△22玉、▲21飛成までです。

では、▲32飛に△同金はどうか?このとき、▲34桂が打てるようになっているのが▲32飛と捨てた効果と言えるかと思います。

これに対し、△12玉や△21玉と逃げると、▲22金、△同金、▲同桂成、△同玉に▲42飛成と一間龍の形を作るのが分かりやすいかと思います。
これで、32に何を合い駒しても▲33銀~▲22金とする手順で詰みます。

一方、▲34桂に△33玉としても▲44飛成、とできます。

以下は△24玉に▲25金までとなります。

2つめの局面は、先手の持ち駒も豊富ですが、後手玉を35あたりにまで逃がしてしまうと、捕らえるのが容易ではなくなります。▲32飛と捨てて△同金と取らせるのは、守りの金をわざわざ玉に近づける意味もあるため、指しづらい感じがしますが、ここでは▲34桂~▲44飛成を実現させて、35などに逃がさないための好手段になっていました。

ということで、結論としては、1つめは詰まない、2つめは詰み、ということになりました。

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