どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【elmo囲いの受けの奥義】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) May 19, 2023
こちらは駒得ですが、玉頭を狙われて嫌らしい状況です。それを改善するべく、本譜は☗69玉と引きました。
こうすれば☖75香と走られても☗78歩で安泰です。elmo囲いは下段に落ちた格好が堅いので、玉を7八に留めることには拘らない方が良いですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/rbJ0pWaf71
このツイートで大事な部分は、最後に記した一文です。すなわち、「elmo囲いは下段に落ちた格好が堅い」という部分ですね。今回は、これをテーマに解説を進めたいと思います。
7八で頑張り過ぎないことがコツ
改めて、上記ツイートの局面を振り返ってみましょう。図は後手が☖6二金寄と指し、飛車の利きを通したところです。
こちらは7七の桂を取られても、まだ角桂交換の駒得です。加えて、自分だけ飛車を成り込める格好ですね。それらが大きく現局面は先手が優勢ですが、玉頭から集中砲火を浴びると、その優位性は吹き飛んでしまいます。よって、ここは7筋のプレッシャーをどう緩和するかが先手のテーマですね。
後手は次に☖7五香と走る手を狙っています。それを数の力で受けるなら☗3九角打と打つ手が一案。確かに、こうすれば香を走られることはありません。
ただ、これには☖5四歩で力を溜めてくる手が厄介です。
この手は、働きの弱かった4三の銀を中央に使う意図があります。加えて、5筋の歩を交換することで、☖7七歩成→☖6五桂→☖5七歩といった攻め筋も見せていますね。☖5七歩を打ち角の利きを遮れば、後手は香を走る準備が整います。
先手はすぐに自陣が潰される訳ではありませんが、結果的には7筋のプレッシャーを緩和することは出来ていません。これでは角を投資した甲斐が無いと言えるでしょう。
ところで、上記の変化で先手は、なぜ守備駒を増やしたにも関わらずプレッシャーを和らげることが出来なかったのでしょう? 秘密は、自玉の位置にあります。先手は7八に玉を据えている限り、後手が設置した二段ロケットの脅威から逃れることは出来ません。なので、ここはさっさと玉を移動させる方が賢明なのです。
そういった背景があったので、本譜は☗6九玉と指した訳ですね。
elom囲いは7八が玉の定位置ですが、今回のように上から攻撃されたときは、あっさり移動するのが良い対処法になります。下段に落ちても金気が近所にあるので、思いの外、耐久力がありますね。
後手は7筋からの攻めに拘るなら☖7五香☗7八歩☖7七歩成☗同歩☖8五桂になりますが、これにはスパッと☗7五角と取ってしまいましょう。
後手は☖同飛と応じるよりないですが、☗7六香が痛打ですね。ここまで進んでみると、先手陣は全く憂いの無い格好となりました。失敗図とは雲泥の違いがあることが読み取れます。自玉の安全が確保できれば駒得が活きて来るので、もう案ずることは無いでしょう。
このように、elmo囲いを上から攻撃されたときは、☗6九玉と引く手が耐久力の高い受けになりやすいです。この性質を意識しておくと、受け間違えることが少なくなるのではないでしょうか。
なぜ、8九ではないのか?
繰り返しになりますが、今回の事例では☗6九玉と引き、相手の攻めから遠ざかることがポイントでした。
ところで、玉を引くのであれば、☗8九玉ではダメなの? と考えられた方もいらっしゃるかと思います。
ただ、☗8九玉を選ぶと、☖9四歩と突っ掛けられる手が嫌らしい攻めになります。
これには☗同歩が妥当ですが、☖7五香☗7八歩☖9四香で端を攻められると、なかなかに面倒です。先手は7筋が壁になっていますし、何より金気が受けに機能していないことが気懸りですね。
elmo囲いは、6筋に金気の利きが集中している囲いです。なので、☗8九玉という避難方法では、金銀が守りに働かなくなる懸念が生じます。ゆえに、8九よりも6九に移動する方が堅さを保持できることが多いのですね。
特に、今回の事例では中央に厚みを作っていたので、そこに近づく意味でも、尚更6九に行くべきケースだったと言えます。対抗型で玉を6筋に避難するのはイレギュラーではありますが、elmo囲いにおいては優秀な配置と認識しておくと良いでしょう。
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