どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【後手超速で覚えておきたい必修手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) January 18, 2024
相手が桂交換を挑んだところ。これを素直に☖同桂成☗同角と進めると、角を良い場所へ配置されることが気になります。… pic.twitter.com/yy5Mz1YrS0
先手中飛車を指されたとき、後手側は様々な作戦があり、目下のところ最強と見られているのは後手超速です。ただ、この作戦は玉型が薄いので、上手く相手の攻めを封じる意識が必要ですね。そこで今回は、後手超速はどんなことを意識して相手の攻めを封じればよいのかということをテーマに、解説を進めたいと思います。
敵の大駒を前に出させない
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗4八金左と指し、穴熊を固めたところです。
大前提として、後手超速は振り飛車の5筋の歩を狙うことが趣旨です。この歩にプレッシャーを掛け、銀で中央の歩を取ることが出来れば、押さえ込みが実現しやすくなります。よって、それが実現できる場合は、概ね歩を取りに行く手が正解になります。
なお、冒頭の局面から直ちに☖5五銀左と指すことは出来ません。現状、5五の地点への利きの数は[3対3]の関係なので、居飛車は歩を取ると駒損になるからです。ただ、7七の角を6八や5九へ移動させれば、[3対2]の関係になるので5筋の歩が取れますね。
それを踏まえると、ここは☖6五桂が有力です。
☗8八角だと☖8六歩で8筋が突破できます。ゆえに☗6八角は妥当ですが、そうなると念願の☖5五銀左が実現しますね。
しかし、それで一安心とはいきません。というのは、居飛車は☖5五銀左を指した後、☗同銀☖同銀☗7七桂で桂交換を迫られるからです。ここで何を指すのかが問題ですね。
一般的に、駒をぶつけられたら取るのが自然な対応です。それで支障がなければ簡単ですし、いつまでも対象の駒がぶつかったままという状況は、何となく居心地が悪いものですから。
ゆえに上図では☖7七同桂成と応じるのは普通に思えます。ただ、そこから☗同角☖5四歩☗6五銀と進められると、実は居飛車は相手の術中に嵌っているのです。
次に☗5四銀と指されると、居飛車は歩得が消えてしまいますし、相手の大駒にも捌かれそうですね。かと言って、それを☖5三銀で受けようとしても、☗4五桂が厄介です。こうなると振り飛車は8九の桂が4五へワープした勘定になるので、イケイケに捌けていますね。ゆえに、上図は振り飛車優勢です。
居飛車は先程まで快調に攻めていましたが、いつの間にか受け身に回らされています。一歩得で成功していたはずなのに。この辺りが後手超速の難しいところですね。一体、何が問題だったのでしょうか?
確かに、5筋の歩を刈り取ることは価値の高い戦果です。しかし、それだけで押さえ込むことは出来ません。大事なことは、相手の大駒を活躍させないことなのです。
実を言うと、5筋の歩を刈り取る目的は敵の飛車の捌きを抑えるためであり、一歩得することが主たる目的ではありません。そこを履き違えると、後手超速を指しこなすことは出来ないのです。
その観点から、改めて失敗図をご覧いただきましょう。この局面は、振り飛車の角が良い場所へ配置されていますね。また、振り飛車は5四の歩を取れば大駒が協力して5五の銀を狙う形になり、攻めの威力がさらに引き上がることになります。要するに、上図は振り飛車の大駒が二枚とも前に出やすい配置になっているので、居飛車は押さえ込むことが難しくなってしまったのです。
したがって、居飛車としては、とにかく相手の大駒が前に出て来れない状況を作ることが鍵になります。先程の失敗例では、[☖7七同桂成☗同角]という応酬が戦犯です。これにより、相手の角が前進しやすい格好になっていますね。
つまり、振り飛車が☗7七桂で桂交換を迫ったところでは、素直に取ってはいけません。ここは黙って☖6四銀と引くのが賢明な一着になります。
この手は6五の桂に紐を付けつつ、自分の角の利きを通しています。次に☖7七桂成が指せれば必勝態勢ですね。
ゆえに、上図で☗6五桂☖同銀と進むのは妥当でしょう。このとき、相手の二枚の大駒に注目してください。
今度は、振り飛車の角が6八にいますね。そして、ここにいる限り前に出ることは出来ません。それはつまり、攻めに使いにくいことを意味します。
また、5八の飛も利きは直通していますが、前に進むとなると現実的ではないですね。居飛車は中段に銀が威張っており、これが5八の飛の働きを抑制しています。加えて、居飛車の陣形は非常に平べったく、争点を見出すことができません。これも飛車が前に出にくいことに拍車を掛けています。失敗図とは雲泥の違いがありますね。
この局面の居飛車は、相手の攻めを完全に封じ込んでいます。加えて、次は☖9九角成や☖5六桂といった駒得を図る手が残っており、それのどちらかは必ず実現します。それらの理由から、上図は居飛車が優勢であると言えるでしょう。特に、☖9九角成は箆棒に価値が高いですね。香を持つと☖5四香が痛烈ですから。
このように、後手超速の本質は5筋の歩を取ることではなく、相手の大駒を前に出させないことにあります。5五の歩を取りに行くのは、それが実現すれば大駒の動きを封じやすくなるからであり、歩得するためではありません。そうした意識を持つと、未知の局面に遭遇しても柔軟に対応できるようになるでしょう。
2二の角を躍動させよ
繰り返しになりますが、後手超速は相手の大駒を前に出させないことがコツの一つです。ゆえに筆者は☗7七桂に対して☖6四銀と引いたのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、2二の角を遊び駒にしないことですね。
改めて、失敗図の局面を提示します。この局面の居飛車は、2二の角が満足に働いていません。5五の銀が邪魔で重たい形になっていることが辛いですね。また、捌き合いになると振り飛車の堅陣が光るので、☖4六銀のような手も指す訳にいきません。後手超速は、こうして角が2二で眠ってしまうと、非常に困った状況に陥るのです。
逆に、成功図では、角の利きがスッと敵陣まで直射しています。こうなれば角が負担になる心配は皆無ですし、☖9九角成と指せば馬の守備力に期待できる格好にもなります。
このように、後手超速において、この角がきちんと躍動するかどうかは、極めて重要な要素です。相手の大駒を押さえ込むことと同時に、この角が眠らないような試合展開を目指しましょう。それもこの戦法を指しこなす大事なコツの一つですね。
また、こうした後手超速を指す上で大事な考え方は、他にも複数あります。以下の記事に参照しておりますので、よろしければ併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2024年1月27日 1:10 PM
銀引きは、いい手ですね🎵覚えておきたい手です❗️
桂馬を取るのは、お手伝いかなぁと思いました😉