左美濃で石田流を攻略する指し方②

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【対石田流で役に立つ部分手筋】

こちらは飛車先の歩が交換できており、ポイントを稼いでいます。それを活かすべく、ここは☖88歩→☖89歩成でと金を作るのが良いですね。… pic.twitter.com/OtuFSsRLFk

— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 5, 2024

昨今において、三間飛車から石田流に組み替える構想は、プロアマ問わず人気のある作戦です。ゆえに、居飛車党としては、それに対する対策を用意しておくことは必須と言えるでしょう。今回は、その方法について解説したいと思います。

理想形が完成する前に動く

今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗８六歩と指し、８筋を反発したところです。

この歩突きは、居飛車が直前に指した☖７二飛に反応した意味があります。☖７二飛は７筋から反発して石田流の組み替えを咎めるプランを描いており、それを指されると振り飛車は、自分の飛車が安定しません。ゆえに、それが来る前にこうして動いている訳ですね。

この場合、居飛車は、☖８二飛と戻すのが常套手段です。以下、本譜は☗８五歩☖同飛☗８六歩☖８二飛☗５六歩と進みました。

この進行の振り飛車は、結果的に８筋の歩を交換されています。ただ、７筋の反発を防いだことが主張ではありますね。

さて、居飛車としては、ここからの指し方が大事です、指をくわえて☗７七桂→☗４六角の二手を指されてしまうと、振り飛車の駒効率が抜群に上がってしまいます。そうなると、ポイントを稼がれてしまいますね。

そのため、ここでは振り飛車の理想形が完成する前に動く必要があります。同時に、８筋の歩を手持ちにしているアドバンテージを活かしたいですね。

ゆえに、筆者は上図から☖８八歩☗７七桂☖８九歩成と指しました。これが振り飛車の構想を咎めにいく一着になります。

振り飛車は９八香型なので、この攻め筋を備えている側面はあるのですが、気にせずと金を作るのが最適です。先述したように、とにかく相手の理想形が完成する前に動くことが肝要なので、と金が作れるチャンスがあれば、積極的に実行するのが賢明な姿勢になります。

なお、この手順を選ぶと☗８五歩と伸ばされる手を与えるのですが、堂々と☖８八とと指しましょう。と金を作った後は、それをきちんと活用するのが大事です。

振り飛車は香損が確定したので、何らかの代償が必要です。例えば、☗８六飛☖９八と☗８四歩で８筋の逆襲を狙うのは一案ですね。

ただ、これには☖７二銀と引いておけば、居飛車は相手の攻めを受け止めることが出来ます。

見た目は歪な配置ではありますが、こうすれば相手は具体的な攻め筋がありません。☗４六角も☖６三金と上がっておけば、振り飛車は駒をぶつける術が無いので攻めがありませんね。

逆に、居飛車は☖９七と→☖８七歩でと金を作る攻めを用意できているので、もう手に困る心配はありません。上図は香得で、かつ相手の攻めを封じることに成功しているので、居飛車がはっきり優勢と言えるでしょう。

このように、振り飛車が石田流の組み替えを目指して来た場合は、それが完成する前に動くことが大事です。☖８八歩→☖８九歩成の攻め方は相手を呼び込むきらいもあるのですが、☖７二銀と引く受けが間に合っている場合は、概ね成立します。石田流の組み替えには、こうした素早い動きでリードを奪いにいく姿勢を心掛けましょう。

８筋の逆襲は気にしない

なお、振り飛車としては、途中の☗５六歩と突いた手が緩手だったという話はあります。これに代えて☗７七桂と跳ねておくほうが、☖８八歩に備えている意味はありますね。

ただ、この場合も居飛車は同じ方針を取れば問題ありません。すなわち、「相手の理想形が完成する前に動く」のです。上図だと、次に☗５六歩→☗４六角や☗８五歩→☗８六飛を指されると振り飛車は好形になるので、それを許さない手を指すことになります。

具体的には、☖７二飛が有力です。こう指すと☗８五歩☖７四歩☗８四歩が気になりますが、平然と☖８二歩と打っておけば、居飛車はリードを奪うことが出来ているのです。

見た目は屈服感がありますが、居飛車は７筋から攻め込む状況を作れているので、８筋を押し込まれても飛車の活用は約束されています。ゆえに、この手順が成立しています。

ここで☗８六飛と寄られると８筋は受けにくいですが、☖７五歩☗８三歩成☖同歩☗同飛成☖７六歩と攻め合えば居飛車良し。竜を作られたことよりも７七にと金を作るほうが厳しいので、居飛車のほうが面白い将棋になっているのです。

また、この変化も先述した☖７二銀と引いた変化もそうですが、この形の居飛車は、８筋を逆襲される攻め筋をあまり怖がる必要がありません。振り飛車は理想形に組み切る前に戦わされているので、万全の状態ではなく、基本的に攻撃力が低いのです。それゆえ、相手の攻めを呼び込んでも、大してダメージを負わないのですね。特に、振り飛車の角の働きが悪い場合はこうした状況になりやすいので、居飛車はそこに目を着けることも重要なポイントと言えるでしょう。

また、こうした左美濃で石田流を攻略する指し方は、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。