どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【自陣の耐久度を高めるコツ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 19, 2023
相手が継ぎ歩で攻めてきた場面。これを☗同歩だと☖同桂☗88銀☖87歩で潰されます。相手の角の利きが強烈ですね。
なので、☗74歩と取り込みます。これで☖86歩を誘い、☗88歩と受けましょう。この配置にすれば、☖85桂と跳ばれても☗86銀で簡単には倒されません。… pic.twitter.com/9JkZXu2uec
将棋は序盤戦が終わると、必ずどちらかが仕掛けを行います。なので、それを正しく受ける技術や攻めを繋ぐ技術を身につけることは、すこぶる重要だと言えるでしょう。そこで今回は、そうした攻防をテーマに解説を進めたいと思います。
歩の壁を作れ!
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖8六歩☗同歩☖8五歩と指し、継ぎ歩でこちらを攻撃したところです。
こちらにとって8筋は最も手薄な場所であり、ゆえにこの仕掛けは急所を突いた攻めと言えます。攻め合いを挑める状況ではないので、上手い凌ぎが求められていますね。
先手としては、これを素直に☗同歩☖同桂☗8八銀と進めて大丈夫であれば、話は早いですね。しかし、そうは問屋が卸しません。それには☖8七歩が痛打であり、後手の攻めが突き刺さることになります。
☗同銀には☖9九角成で香が取られてしまいます。かと言って、☗同玉では☖7七桂成でトン死ですね。
つまり、冒頭の局面から素直に☗8五同歩と応じることは出来ません。
なお、後手の攻めがこうも綺麗にヒットした背景には、角が存分に利いていたことが最たる理由です。特に注目して頂きたいのは、この角が歩でブロックされていないことですね。
大駒は歩で遮断されていると働きが悪くなりますが、そうでなければ敵陣や価値の高い守備駒をダイレクトに睨む格好になるので、相手に与えるプレッシャーは格段に上がります。この変化は、それが色濃く出ていると言えるでしょう。
それを踏まえると、受け側としては、いかにして歩の障害物を作るかが鍵となります。特に、5五の角の利きを歩で遮断したいですね。
そうした背景があったので、筆者は☗7四歩☖8六歩☗8八歩と進めました。
8筋の歩を取り込ませるのは抵抗を覚えるかも知れません。けれども、こちらは8八の地点に歩を置いたことを評価しています。ここに歩を設置しておけば、5五の角の利きをブロックすることに繋がるからです。
つまり、上図から☖8五桂☗8六銀と進むと、この歩の力がよく分かる状況になりますね。
今度は失敗例と違い、相手の角の利きを歩で止める形になっています。ここで☖8七歩と叩かれても、☗同玉で差し支えありません。この局面は8筋の守備駒が二枚(8六の銀と8八の歩)いることが大きく、決定打を回避することに成功しています。
このあとは、☗7三角で相手の攻め駒を責めるのが楽しみですね。7三にと金が作れれば、受け切りや上部開拓が見えてきます。玉型に差があるので形勢は簡単ではありませんが、上図はこちらも受ける楽しみが大いにある局面だと言えるでしょう。
このように、敵の攻めを凌ぐ際には、相手の大駒の利きを歩でブロックできる配置を目指すことがコツの一つです。高い駒で遮断すると、それを切り飛ばされたり叩きの歩で移動させられやすい懸念があります。しかし、歩でガードすれば、そうした攻めを大いに緩和できますね。これは非常に汎用性が高い法則なので、意識しておくと良いでしょう。
歩で遮断されていない配置を作る
繰り返しになりますが、今回の題材では「歩の壁を作る」ことが重要な部分でした。
ゆえに攻め側としては、いかにして大駒の利きが歩で遮断されない配置を作るかが、攻めを繋ぐ上で重要になってきます。今度は逆の立場で、そうしたことを考えてみましょう。
先述したように、ここから☖8五桂☗8六銀と進めると、こちらは攻めが細くなってしまいます。この変化だと8八の歩が邪魔をしていて、5五の角が満足に働いていません。
ゆえに、こちらは角の利きを通しに行く工夫が必要だと考えられますね。そう、ここでは☖8七歩成☗同歩☖8五桂と進めるのが好着想になります。
これだと相手は銀を上に逃がすことは出来ません。したがって☗8八銀と引くのは妥当ですが、これだと角が価値の高い守備駒を睨む配置になるので、攻撃力の高さを維持することが出来ています。
☗8八銀と引かれた後は、☖9五歩☗同歩☖9七歩で争点を増やすのが良いでしょう。端を絡めれば9一の香が参戦するので、攻めを手厚くすることに繋がります。
次に無条件で☖9五香が実現すると、四枚の攻めが実現するので切れ筋に陥る心配はありません。
それを妨害するなら☗7三角が一案ですが、それには☖9二飛と寄り、次の☖9五飛を狙えば良いでしょう。他には☗5六歩の催促もありますが、☖8八角成☗同玉☖9二飛と進めれば、やはり次の☖9五飛が厳しいので、こちらの攻めは続きますね。
この変化では、いつでも☖8八角成と切れることが大きく、ゆえに攻めを持続させることが出来ています。もし、歩で壁を作られていたら、☗5六歩の催促には角を引くよりありません。しかし、上図のように高い駒を壁にさせていれば、いつでも切り飛ばせるので、駒を退けることなく前進することが可能なのです。☖8七歩成の利かし、及び歩で壁を作らせなかった恩恵がよく分かりますね。
また、こうした仕掛けを成功させるためのテクニックは、他にも様々な種類があります。詳しくは、拙著「盤上のシナリオ」に記載しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年12月23日 12:34 PM
歩は守りにおいても、やっぱりなくてはならない駒だということですね🎵
攻めにおいても、歩の突き捨てからということですね🎵