どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【目標物は早めに移動させよ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) March 12, 2025
相手が角を中央に打ったところ。これは☖88歩と☖46角という複数の攻めを狙っています。同時に防ぐのは難しそうですが、☗25飛と引けば問題が解決されますね。… pic.twitter.com/L3JYbr4xKH
将棋の中盤戦は茫洋なところがあり、かつ候補手がたくさん目移りする場面も多いので、何が正解なのか見当がつきにくい状況に直面することは珍しくありません。そして、そうした場面は往々にしてミスが出やすいものです。
そこで今回は、中盤戦で適切な手を選ぶための考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
目標物を移動させる
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖5五角と指し、技を掛けにきたところです。

こちらは囲いが未完成で、現状では守備力が高いとは言えない格好です。ただ、ここで相手の狙いを全て封じることが出来れば、持ち駒の角を温存している優位性が活きてきます。ゆえに、そうした手段を模索することがこちらのテーマですね。

まずは、相手の狙いを把握する必要があります。この角打ちは間接的に8八の地点に利きを届かせているので、☖8八歩で桂を取る手が狙いの一つです。他には☖4六角と出て、飛車取りと角の成り込みを同時に狙う手も視野に入れていますね。よって、こちらは☗7八金のような受けでは上手くいきません。また、☗6六銀も☖4六角から☖8六飛があるので、得策ではないでしょう。
これらの受けは、8筋と5七の地点を同時に守れていないことが問題です。

なお、☖8八歩を受けつつ5七の地点を強化するなら、☗6六角という受けは考えられます。ただ、これも☖同角☗同歩☖6五歩と追撃されると、敵の攻めを完全に鎮圧したとは言えません。

これを☗同歩と取ると、☖8八歩☗同銀☖3三角で技が掛かってしまいます。しかし、☖6六歩と取り込まれると、先手はこの歩を払いにくいので、それも嫌な状況です。上図は☗7八金の整備が入っていないことが咎められており、こちらは芳しくない状況です。
上図や冒頭の局面に共通していることは、2四の飛が目標にされていることです。どちらの局面も、この駒がここに居るので後手に技を掛けられている側面があります。
それを踏まえると、冒頭の局面でこちらが選ぶべき手が見えてきますね。具体的には、☗2五飛がベスト。これが相手の攻めに空を切らせる一着になります。

こうすれば☖3三角や☖4六角が飛車取りにならないので、こちらは受ける条件が格段に良くなります。ここで後手は☖8八歩を打つ余裕がないので、角取りを防ぐよりありません。
ただ、☖4四角では☗7八金で攻めが途絶えてしまいます。歩損を回復するなら☖4六角になりますが、これも☗4八金と上がっておけば、先手は何不自由ない局面を作ることが出来ますね。

こうなると☖8八歩を打たれても☗同銀で痛痒を感じませんし、他の攻め筋も見当たらないので、先手は受けが成功したことが分かります。以降は☗7八金や☗4七銀などで自陣を充実させていけば、自分だけ角を手持ちにしているアドバンテージが活きるので、先手が作戦勝ちになりますね。
こうして一連の進行を見ると、2四の飛を移動させたことで、こちらは急に受けやすい格好になったことが読み取れます。

将棋の中盤戦では、駒得することが目的の一つです。そして、駒得するためには、何らかの駒をターゲットにする必要があります。受け側としては、そうしたターゲット(目標物)を移動させると、受けが成功する可能性が高まります。こうした性質を理解しておくと、形勢を損ねるケースが減ってくるのではないかと思います。
敵の主力を攻撃せよ
繰り返しになりますが、今回の題材では目標物を移動させることが話の肝でした。ゆえに筆者は☗2五飛と指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「敵の主力を攻撃する」ということですね。

改めて、冒頭の局面を提示します。上図における敵の攻めの主力は、やはり5五の角と判断すべきでしょう。先述の通り敵の狙いは☖8八歩と☖4六角であり、それらは5五の角が存在しなければ成立しない攻めだからです。
受け側としては、敵の攻め筋を防ぐことも然ることながら、こうした敵の主力を攻撃することで自陣の安全を図る手法もあります。☗2五飛は「目標物の移動」と「敵の主力の攻撃」という二つの意味があるので、価値の高い一着になっている訳ですね。「敵の主力の攻撃」は受けに回る際に汎用性の高いテクニックなので、これも併せて意識して頂ければ幸いです。
また、こうした中盤の難所で意識しておくと役立つことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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