どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【自玉が堅いときの指し方】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 28, 2024
こちらは金銀四枚の堅陣であり、駒得しているので優位に立っています。また、現状では相手から厳しい攻めもありません。こうした場合は、急がず力を溜める手が有効です。… pic.twitter.com/hb9sBSOShW
将棋は堅い囲いが作れると、自玉が簡単には寄せられにくくなるので安心感があります。ただ、堅陣を作ると攻撃力が下がってしまうことが多いので、それを補う技術が求められることは少なくありません。
そこで今回は、自玉が堅いときに心掛けると良いことをテーマにして、解説を進めたいと思います。
攻め合いの将棋に誘う
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖7五歩と指し、こちらの角道を止めたところです。
この局面は、こちらの方が玉型が堅く、香得もしているので大いに優勢です。ただ、攻撃力に関してはそこまで高くないので、どのように攻めの手段を見出すかが、こちらの課題と言えるでしょう。
さて、上図で敵陣を攻めるとなると、☗7四香と打つのは魅力的です。相手は金を剥がされると被害が大きいので、☖7三桂で受けてくることが予想されます。
こうして桂を跳ねさせれば相手の穴熊は弱体化するので、ポイントを稼いでいるのは確かですね。
ただ、こちらは攻め駒の数が増えてはいないので、相手の囲いを一気に崩せる訳ではありません。また、上図では次に☖6三金や☖6五銀を指されると相手に香を渡すので、敵の手段を増やしてしまう懸念もあります。こうした背景があるので、☗7四香は一長一短な側面があるのです。
こちらとしては、出来れば確実にプラスに作用する手を選びたいところです。そうした思惑から、冒頭の局面で筆者は☗1二とと指しました。これが堅陣を活かした一着になります。
これは相手が何もしなければ、☗1三と→☗1四とを狙っています。それが間に合えば飛車の侵入が約束されるので、こちらは攻撃力がぐんと上がりますね。
よって、後手はそれを防ぐべく☖4五桂と跳ぶのが妥当です。これは角を1五に利かせることで、☖1五歩という受けを用意した意味があります。この場合はと金を引いても効果的な手にならないので、今度は☗2二とと活用するのが良いでしょう。
これは☗3二と☖同飛☗1四飛が狙いです。なお、☗3二とに☖5一角だと☗6五歩から9七の角を捌くことが出来ます。ゆえに、後手は3二にと金を寄らせる訳にはいきません。
そうなると☖1五歩と突くのは自然ですが、こちらは大人しく☗6六飛☖6五歩☗9六飛で、飛車が目標にならない場所へ移動しておきましょう。
細々としたやり取りが続いていて、傍目にはパッとしない進行に感じるかもしれません。しかし、上図と冒頭の局面を比較すると、こちらは☗4六歩で桂を取りに行く攻め筋を作ることが出来ています。これで桂を入手できれば攻め駒が増えるので、いよいよ☗7四香などで本丸を攻撃する手が決行できます。
後手は黙っていると、どんどん条件が悪くなってしまいます。囲いを固めるなら☖7三銀引ですが、それには☗5六飛の揺さぶりに対応できなくなります。
他には☖3六歩で決戦に打って出るのも一案ですが、これにも☗5六飛で敵陣を揺さぶるのが好着想になります。
☖6三金や☖5五銀なら囲いが薄くなるので、☗3六飛で飛車をぶつける条件がよくなります。
また、☖5五歩も☗3六飛☖同飛☗同歩のときに、後手は有効手が難しいですね。次は☗7四香が痛烈ですし、☖7三銀引には☗4一飛☖6四角☗4四飛成で駒を取りに行く手が厳しい攻めになります。この変化のとき、5五に歩を突かせている恩恵が現れますね。上図の先手は攻めの手段を見出すことに成功しているので、優位を拡大できたと言えるでしょう。
こうして一連の手順を見ると、こちらはと金を活用したことが、結果的に攻め筋を作ることに繋がったことが分かります。
基本的に、と金攻めのような「確実な攻め」は受け止めることが出来ません。ゆえに、受け側としては「確実な攻め」が間に合わないよう、それよりも速い攻めを繰り出して対抗することになります。つまり、攻め合いになる訳ですね。
そして、攻め合いの将棋になると、基本的には自玉が堅い方が優位に立ちやすいと言えます。したがって、自玉が堅い場合は焦って攻め掛かるのではなく、確実な攻めを作り、攻め合いの将棋に持ち込むほうが得策になりやすいのです。こうしたことを意識すると、堅陣を活かした戦い方が出来るようになるかと思います。
駒を渡さない攻めが最強
繰り返しになりますが、今回の題材では確実な攻めを作り、攻め合いの将棋に持ち込むことが重要な部分でした。ゆえに筆者は冒頭の局面で☗1二とと指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、この手が「駒を渡さない攻め」になっているからです。
将棋は取った駒が再利用できるゲームなので、自分の渡した駒が自分の首を締めるケースは往々にしております。それを踏まえると、相手に駒を渡さない攻めを行えば、その分、リスクが減るので安全な指し方になると考えられます。上図のようなと金を使う攻めはその顕著な例で、こうして敵に戦力を与えないようにすれば、自陣に脅威が及ぶことはありません。
なお、こうした駒を渡さない攻め方はスピードが遅くなることがデメリットではあるのですが、自玉が堅い場合は遅い攻めを間に合わす条件がよいので、その欠点は補えています。こうした点を考慮することも、堅陣を活かすコツと言えるでしょう。
また、こうした中盤戦を上手く乗り切るためのテクニックや考え方は、他にも様々な種類があります。詳しくは、拙著「盤上のシナリオ」に記載しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
【盤上のシナリオ】
https://amzn.to/3SUsn2J
1件のコメント
武田和浩 · 2024年10月5日 2:28 PM
残念ながら思い浮かびませんでした😆
と金の遅早、確実ないい攻めですね🎵
遅いと言っても二手で手になってます!💫