どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【☖53銀型三間の攻略法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) March 21, 2024
この形の振り飛車は、角頭が薄い弱点があります。なので、☗37銀→☗26銀で、シンプルにそこを狙うのが良いですね。… pic.twitter.com/OI9uejQANR
角道を止める振り飛車には様々な種類がありますが、中には左銀を5三に配置する駒組みもあります。この形は銀を中央に使いやすい特色があり、持久戦の際に力を発揮する性質があります。
それを踏まえると、居飛車はこれを相手にしたときは、急戦策をぶつける方が面白いと言えます。今回は、それをテーマに解説を進めましょう。
角頭が薄い弱点をシンプルに突こう
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☖5三銀と上がり、陣形整備を進めたところです。
この局面の後手はまだ戦法を決めていませんが、3一の銀を5三に配置したことから、振り飛車を採用する可能性が濃厚です。先手は、急戦と持久戦のどちらかを選ぶことになりまね。
そして、冒頭でも述べたように、こうした☖5三銀型の振り飛車には急戦が有力です。なぜ急戦が面白いのかというと、この配置は角頭の守りが薄いという弱点があるからです。
という訳で、居飛車はシンプルにそこを狙ってみましょう。すなわち、上図から☗3六歩☖3二飛☗3七銀☖6二玉☗2六銀と進めるのが具体案の一つになります。
なお、銀を4六ではなく2六に出たのは、☖4五歩の反発を警戒した意味があります。もし、上図で☗4六銀と指していると☖4五歩に対して無視できませんが、2六ならそうではありません。例えば、ここで☖4五歩なら☗3三角成☖同桂☗7七角と進め、次に☗3五歩や☗3七銀などで攻める手が楽しみとなります。
つまり、☗2六銀型に構えておけば、☖4五歩と突かれても手番を渡さずに攻め続けることが出来るようになるという訳ですね。
それを踏まえると、振り飛車としては☖4五歩ではない手段で対抗策を模索する必要があります。また、こうした☖5三銀型の振り飛車では、左金を4三に配置して角頭を補強するのが常套手段です。よって、ここでは☖5二金左と上がるのが並の対応と言えるでしょう。
ただ、居飛車は初志貫徹に3筋から攻めていきます。つまり、☗3五歩☖5一角☗3八飛で動き続けるのが作戦の趣旨に沿った指し方ですね。
ここから☖3五歩☗同銀と進むと、3筋を制圧する格好になります。あとは☗3四歩→☗4四銀や、☗3四歩→☗4六歩→☗4五歩という要領で攻めれば問題ないでしょう。こうして棒銀が3五に居座ることが出来れば、振り飛車はいずれ受けが利かない形になります。
そうなると振り飛車は☖4三金☗3四歩☖同金と進め、居飛車の銀を前進させないようにするのが一案です。ただ、これには☗2四歩☖同歩☗2二歩が習いある手筋で、やはり居飛車の攻めがヒットすることになります。
☖同飛や☖3三桂には、☗3四飛で金が取れますね。振り飛車は☖2五歩☗同銀☖2二飛で暴れる方がまだしもですが、☗3四銀☖2九飛成☗3五飛と応対すれば問題ありません。居飛車は金桂交換の駒得ですし、次に☗2五飛や☗4三銀成といった厳しい攻め筋が残っています。したがって、居飛車優勢ですね。
こうした進行を見ると、シンプルに棒銀で3筋を攻める作戦の優秀性が、お分かり頂けたかと思います。
このように、☖5三銀型の三間飛車には急戦志向の作戦が有力です。3筋を徹底的に狙えば5三の銀は受けに機能しませんし、これだけ早く動けば攻撃に使うことも出来ません。☖5三銀型という配置を構造的に咎めることが出来るので、非常に優秀だと感じています。ぜひお試しください。
急戦する際には、可能な限り最速で動く
ところで、今回に紹介した居飛車の作戦は、玉型が中途半端な状態であることに違和感を覚えた方もいらっしゃったかもしれません。一般的に急戦する際には舟囲いに組むものなので、☗6八玉型のまま銀を繰り出すのは何となく不安な印象があることは確かです。
しかしながら、こうして☗6八玉型を維持して攻勢に出ていたのは、もちろん理由があります。端的にそれを述べると、不必要な受けを省いて攻める方が、より急戦の効果が高くなるからです。
例えば、仮に☗7八玉と寄ってから銀を繰り出すと、振り飛車は☖4三金の受けが一手分、早く整うことになります。この局面から☗3五歩☖5一角☗3八飛で仕掛けても、☖3五歩☗同銀☖3四歩で受け止められてしまいますね。
つまり、☗7八玉と指せば自身の囲いは万全の状態になりますが、そうして受けに一手費やすと、相手に万全の態勢を作る余裕を与えてしまう懸念があるのです。急戦の将棋において一手の遅れは大きな違いを生み出すので、こうしたところはシビアに追及しなければいけません。ゆえに、居飛車は☗7八玉を省いて攻勢に出ていたのですね。
要するに、急戦する際には、可能な限り最速で動くほうが良いことが多いのです。ゴキゲン中飛車に対する超速も☗6八玉型で銀を繰り出しますが、それと同じ理屈ですね。こうした理屈を知っておくと他の戦型でも応用が利くので、急戦する際には、その感覚を持つようにするとよいでしょう。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2024年3月24日 6:06 AM
序盤での速度計算ですね🎵
翻って考えると安易に5三銀を決めたところに問題があったのか、振り飛車にしたのが問題だったのか❓️