どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【攻めが細いときは遊び駒を使え】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 3, 2024
こちらは攻めに専念できる態勢であり、何か技を掛けることも出来そうな状況です。ただ、現状は攻めが厚いとは言えないので、こうした場面は攻め急がないほうが賢明です。… pic.twitter.com/FV0q9zJWHu
将棋は攻勢に出る展開になると、気分がよいですね。ただ、知らず知らずのうちに自分の攻めが急所を外してしまい、芳しくない状況になってしまったという経験がある方は多いのではないでしょうか? 今回は、そうした状況を防ぐための考え方を解説したいと思います。
遊び駒を残して戦わない
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖3三同玉と指し、こちらのと金を取ったところです。
この局面は、こちらは金香交換の駒得であり、玉の安全度もリードしているので優位に立っている状況です。上手く指せば相手を突き放すことが出来る情勢ですね。その具体案を考えていきましょう。
上図では敵玉の位置が不安定なので、☗4五桂と跳ねてみたくなる局面です。以下、☖2二玉☗4一角と攻めるのが一案ですね。確かに、これで先手は悪くありません。
この角打ちは、次に☗2四歩と打ったり、☗5二角引成☖同香☗4三歩成といった攻め筋を見せています。傍目には好調に攻めているように思えますね。
ただ、この攻め方を選ぶと、ある不安要素を抱える側面があります。
その不安要素とは、2八の金が遊んでいることです。冒頭に述べたように先手は金香交換の駒得なのですが、この金が使えていないと、あまり駒得のアドバンテージが光りません。
加えて、ここに金がいると、将来☖5六歩と突かれる攻め筋の威力が上がってしまう弊害もあります。先手は4一に角を打っている以上、相手に角を渡す公算が非常に高い局面です。となると、上図では☖5六歩☗同歩☖4六角といった攻め筋が透けて見えるので、自陣のケアが必要になってきます。そうなると、攻めを繋ぐ際に支障が生じますね。
こうした背景を踏まえると、冒頭の局面では2八の金の働きを改善しておくほうが賢明であることが見えてきます。ゆえに、筆者は☗2七金と指しました。これが攻めに厚みを加える一着となります。
もっと早く攻める手も見えるところなので、パッと見では緩い指し方に感じるかもしれません。しかし、この遊び駒をきちんと活用すれば攻撃力が上昇しますし、金香交換のアドバンテージも光ることとなります。
本譜は☖3四歩で玉頭を補強しつつ角道を遮断してきましたが、☗3六金☖3二銀☗4五金で、引き続きこの金を活用していきましょう。
ここまで進むと、攻めが非常に手厚くなりました。手数は掛かりましたが、☗4五桂→☗4一角と直ちに攻め掛かった変化と比べると、上図のほうが遥かに駒の効率がよいですね。こうなると、攻め間違う心配も相当になくなります。
本譜は上図から☖2二玉で粘ってきましたが、☗2四歩☖同歩☗3四金でとにかくこの金を進軍すれば、問題ありません。
次は☗2三歩と打つ手がありますが、相手はそれを防ぐことが出来ません。例えば、☖3三歩☗2三歩☖同銀☗同金☖同玉☗4一角のように進めば、後手陣は崩壊しますね。こちらは角を温存していることが心強く、相手は有効な受けが利かない状況です。ゆえに、上図は決定的な差がついていると言える情勢でしょう。
こうした進行を見ると、2八の金をしっかり使った恩恵がよく分かりますね。
このように、攻めを繋ぐ際には、遊び駒を残した状態で戦わないことが肝要です。特に、今回の題材のように自陣に脅威が及んでいない場合は、力を溜める余裕があるものなので、遊び駒を使う価値が高くなります。こうしたことを意識すると、攻め間違えによるミスを防ぐことに繋がるかと思います。
反動が来にくい攻めを行う
繰り返しになりますが、今回の題材では急いで攻め掛からず、丁寧に遊び駒を使うことが話の肝でした。ゆえに筆者は☗2七金を選んだのですが、この手を指した背景には、もう一つ別の理由もありました。
それは、「反動が来にくい」ということですね。
改めて、冒頭の局面から☗4五桂→☗4一角と攻め掛かった図面を提示します。先述したように、この攻め方だと相手に角を渡す可能性が極めて高いので、将来☖5六歩→☖4六角という反撃が来ることが予想されます。
こうした激しく動いたり、大駒を渡すような攻めは見た目が派手なので華やかさはあるのですが、敵に戦力を与えるのでカウンターを食らいやすくなる弊害があります。ゆえに、形勢がよい側の立場としては、実はリスクが高い行動とも言えるのです。
逆に、☗2七金から金を前進していくプランは地味ではありますが、敵に全く戦力を与えないので、カウンターを打たれる危険は一切ありません。こうした反動が来にくい攻め方を選ぶほうが、結果的に一方的に攻める状況をキープできるので、逆転されにくい指し方と言えます。敵陣を攻める際には、こうしたことも意識しておくと、より良い判断が出来るようになるかと思います。
また、攻めを繋ぐ際に心掛けたことが良いことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2024年8月12日 10:17 AM
遊び駒の活用は大事ですが、終盤はスピードとはいうものの、やはり大事なのですね🎵