みなさまこんにちは。馬場です。

 ちょっと検討していて面白い将棋があったのでご紹介したいと思います。

 それがこちら↓

 後手が△41飛と回ってきたところ。矢倉対右玉のワンシーンです。先手は堅陣の上に攻撃態勢も十分で満足の局面ですが、次に△55歩が見えているのでどうするか、というところ。

 さてこの局面、みなさまだったら先手を持ってどう指しますか?考えてみてください。

 参考までに、この局面のAIによる評価値は先手に+600~700点!ほど振れています。

ーー以下解説ーー

 さてこの局面、次に△55歩が見えていますので▲68金引や▲57金といった手ももちろん考えられます。別にそれでも先手が悪くないのですが、ここは実はチャンスを迎えていて、堅陣を生かして一気に強襲する手段があります。

 手順は多少前後しても構わないのですが、ポイントとなる一手が▲54歩!

 これが見えた方は相当なセンスの持ち主だと思います。私は1日考えてもこの手は見えないですね・・・。

 次に▲45桂△同銀▲53歩成を喫しては終わってしまいますので、△54同銀と取るしかありません。以下さらに、▲75歩△同歩▲24歩△同歩とどんどん突き捨てて、▲44角!と切り飛ばすのが▲54歩に連なる狙いの一着です。

 これも飛車か角かどちらかで取るしかありません。

 まず△44同飛の場合ですが、これには▲55銀打とかぶせるのが厳しい一着になります。

 この手を厳しくするために▲54歩と打ち捨てて63の銀を呼んでおいたのですね。

 以下△55同銀▲同銀△41飛▲64銀と一気になだれ込んでいきます。

 確かにこうなれば先手がいけそうな感じがします。56銀の躍進っぷりがいいですね。何より彼我の陣形にさすがに差がありすぎますね。

 戻って▲44角と切り飛ばした局面。

 これに対して△44同角と取った場合は、ガツンと▲45銀とぶつけていきます。やはり▲54歩と打ち捨てておいたおかげでこの手がより効果的になっているんですね。以下△同銀▲同桂となってきれいにさばけました。

 うーん、惚れ惚れする駒さばきですね。先手からは次に▲74歩や▲53歩、▲24飛~▲34飛、また場合によってはいきなり▲53銀と打ち込んでいく手もあって、ちょっと後手は収拾がつかなくなっています。これも先手がいけそうですね。

 AIで検討していると、その性能を最大限に引き出すような駒の使い方が本当にうまいなと思わされることが多々あります。今回ご紹介したのもその一例で、56銀・37桂・26角の配置は人間の目で見ても好形なのですが、それらを最大限に生かして躍動させる駒さばきが本当に素晴らしいなと思いました。

 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

カテゴリー: 戦型

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